近年、日本で生活する在日ムスリムの人口が増加しています。
それがきっかけで在日ムスリムへ向けたマーケティングを始めている企業も増加しています。マーケティングを始めるにあたってまずは在日ムスリムについて詳しく知っておく必要があります。
今回は、日本企業が知っておくべき在日ムスリムの特徴についてお話していきます。

日本行が知るべき在日ムスリムの特徴


・在日ムスリム人口約30万人
・毎日3食プラスα消費
・日本食品に好意的

日本に住む外国人ムスリムについて日本企業が知るべきポイントは、下記の3点だけでよいと思っています。

在日ムスリムは増加の一途

結論から言うと、在日ムスリム人口は増加の一途です。


・地方を中心にムスリム労働者が増えている
・インドネシア・バングラデシュの方を中心に地方工場に多く入ってきている
・コロナ後もその流れは変わらない

年々在日ムスリムの人口が増えいています。

人口統計が計りづらい在日ムスリム

しかし、在日ムスリム人口は、統計的に正しい数字が存在しません。
全て推計でしかないのです。

理由としては、


入国管理局でチェックする項目に「国籍」は存在しても、「宗教」という欄が無いためです。

そのため、10万人なのか、30万人なのかを議論することはナンセンスとなっています。
その代わりに、増加しているのか減少しているのかを市場トレンドとして見れると理解することができます。
もう1つ「統計で見えない」ムスリムとして、ウイグル族の方達がいます。
彼らはパスポート上、「中国」としてカウントされています。

在日ムスリムのオンラインショップ需要が高まる

なぜなら、地方には十分なハラール食品店が存在しない。
一部売っているような大手スーパーも、地方では車がないと買いに行けません。(労働者には無理)

在日ムスリムのオンラインショップ需要が高まっている理由を以下に並べました。


・ECサイトの需要が高まっていたとしても準備が難しい
・個人でも準備金0円で始められる、ハラールECフランチャイズの仕組みがある
・店舗(事務所)不要、在庫不要、顧客対応不要、配送不要
・ムスリムは3食ハラール食品が必要!
・30万人に対しトップ店舗でも月数百件、シェア率0.1%以下の空白市場

取り組むべきムスリム販売戦略

(A) 日本に旅行に来られるムスリムを対象としたビジネス
(B) 日本在住の(主に)外国人ムスリムを対象としたビジネス
(C) 海外ムスリム(外国)を対象とした海外ビジネス
参考URL:https://halalbiz.jp/2801/halal-market-is-profitable/

新型コロナウイルス問題収束の糸口が見えない現状では(A)のインバウンド・ムスリム旅行者を対象とした販売戦略の構築は現状難しいことは多くの企業に共感頂けるかと思います。
一方で、(C)海外市場への進出に関しては、日本人が海外渡航することが難しい状況のため、オンライン商談・オンライン展示会などの代替手段が整備されつつあるものの、実際にここから新しいビジネスチャンスが得られたという声は殆ど聞いたことがありません。
そうなると、必然的に今すぐ取り組むべきは、(B)の在日ムスリムをターゲットにした販売戦略ということになります。

約30万人で今も増加中

統計データなどの在日ムスリムの数は、10万人前後となっています。
しかし、在日ハラール市場を知るために理解しておかないといけない事は、


「ムスリムを正確にカウントする方法が存在しない=在日ムスリム人口統計データは当てにならない」

という事項です。

まず大きな理由として、

日本への入国時や在留許可申請時に「あなたの宗教は何ですか?」という質問項目が無いからです。

仮にパスポートに「私はムスリムです!」と書いてあったとしても、それを日本国として記録するような仕組みは聞いたことがありませんし、そもそもパスポートに書いていません。

では、ニュースやネットに記載されている「在日ムスリム人口」は嘘か?と言われると、嘘ではないが推定された数字であることは間違いない、と言えそうです。
パスポートによって国籍は分かりますから、その国のムスリム人口率(これも変動的であいまいなものですが)という「仮定の率」を掛けて、おおざっぱに計算していると思われます。

例えば、

インドネシア人口2億人に対してムスリム率は9割くらい(と言われている)から、2x90%=1.8億人

といった形です。

そして多くの場合抜け落ちているのが、

「中国国籍のウイグル族または回教」と呼ばれる、中国パスポートで日本に入国したムスリム

です。

この方たちは多くのムスリム人口データでカウントされていませんが、日本には数万人単位で生活しています。

ハラール市場と同時に、中国事情にも詳しい専門家として私のざっくりとした仮説を挙げてみます。
在日インドネシア人口は2019年時点で7万人弱とされていますが、コロナ以降も地方労働力受け入れなどの関係で増え続けています。

その他、中国以外であまり知られていない在日ムスリムが多い国としては、


・ネパール(在日10万人弱、1割がムスリム)
・インド(在日4万人、半分がムスリムまたはハラール関連ビジネスに従事)
・バングラデシュ
・スリランカ
・アフリカ諸国(半分がムスリム)

といった所でしょうか。

ハラールオンラインショップの販売データからは、地方のリゾート地や工場などの中小企業、介護施設などにもムスリム外国人が就労していることが判明しています。
労働者不足は日本全体に蔓延しこれからも続くため、上記のムスリム人口30万人の仮説も現実的ではないでしょうか。

参考までに2019年の在留資格保持外国人総数は293.3万人です。
世界のムスリム人口比率が平均25-30%に達していることから考えると、在日外国人のうち70-100万人がムスリムであってもおかしくない、という仮説も成り立ちます。
(現実には中国・韓国・フィリピン・ベトナムで在日外国人の6割という状況があるため簡単にはいきませんが)

 


ライタープロフィール
菅野幸介氏(Islamic Food Consulting代表)

菅野幸介氏のプロフィール画像

略歴:
琉球大学農学部卒、キャリアの殆どを海外市場で過ごし、業績アップ専門経営コンサルタント・化粧品会社の海外事業等を手掛けるうちに、日本製品xハラール市場の可能性に気づき、2018年に独立、ハラール専門のマーケティング会社Islamic Food Consulting代表となる。口癖は
「売らないならハラール認証を取る必要がない」
「販路を持たない人間はマーケティングコンサルタントではない」
「売るための努力をしないなら情報は取らないほうがいい」
と、一貫して販売・販路にこだわるマーケティングが持ち味。日本国内外のハラール市場・販路について情報を日々自分の足で稼ぐ、ハラールハンター。