近年、「ハラール認証(ハラル認証)」という言葉を耳にする方も増えてきたのではないでしょうか?
今回は、そんな「ハラール認証」とはどういった制度なのか?概要から効果的な運用まで当メディアで解説している記事をまとめながらお伝えします。
ハラール認証とは?
ハラール認証とは、
各国の機関や団体が定めたハラールに関わる食品・医薬品・化粧品・飲食店等への認証
のことを言います。
日本では、「ハラル認証」とも呼ばれています。
その基準や制度的裏づけ・認証する組織の形態は、国によって異なります。
各国のさまざまな団体や機関がそれぞれ独自の基準で審査を行い、認められた場合に認証が発行されます。
ハラール認証団体から審査を受けて認定を受けた商品やサービスは「イスラム法的に合法である」
という証になります。
団体だけでなく、マレーシアやシンガポールでは、国レベルで政府系機関が認証を行っています。
ハラール認証を取得するとハラールマークを商品や店舗に掲載することができます。
ちなみに、このハラール認証の「ハラール(HALAL)」とは、合法という言葉の意味を持ちます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
※【関連リンク】ハラールとは?結局何なのか?【3分で完全理解】
ハラール認証マーク
↑のマークは、「ハラールマーク」と呼ばれている認証マークです。
「ハラール認証マーク」とも呼ばれています。
ハラール認証を取得している証です。
ハラールマークのデザインは、各ハラール認証団体によって異なりますので多数のハラールマークが存在します。
ハラールマークが記載されている商品や店舗は、ハラール認証団体が正式に認めている証となります。
この商品やサービスは「イスラム法的に合法ですよ」ということを視覚的に認識することができます。
ムスリム(イスラム教徒)にとって、ハラールマークが記載されている商品やサービスは、商品に含まれる成分などを気にせず、安心して食べたり使用することができます。
ハラール市場

ハラール認証の取得にあたって気になるのは「ハラール市場の規模」です。
国際コンサルティング企業AT Kearneyは、グローバルなハラール市場は2020年に初めて2.5兆ドル(約274兆円)規模を超え、その後も成長を続け5年以内に3兆ドル(約329兆円)規模に達するとのレポートを発表した。
さらに、現在ハラール市場は、以下の6つの主要部門から成り立っています。
- 食品
- 旅行
- ファッション
- メディア娯楽
- 医薬品
- 化粧品
上記の6つの主要部門からなっている。
主に食品が中心になっているものの、医薬品や化粧品、ファッションなども急速に成長しています。
ムスリムは消費者グループとして世界人口の4分の1近くを占めており、市場の大きな一部となっており、今後も世界的にハラール市場への投資が続いていくと予測されています。
詳細についてはこちらで説明しています。
※【関連リンク】【ハラール消費者市場調査】 2020年274兆円規模
※【関連リンク】日本企業が知るべき在日ムスリムの特徴
ハラール認証の取得メリット
ハラール認証を取得するメリットについて、こちらでは「消費者視点」と「企業視点」に分けてお伝えします。
消費者視点
ハラール商品の消費者であるムスリムにとって、
ハラール認証の証拠でもあるハラールマークを目にすることで安心して商品を食べたり使用することができる
という判断ができます。
ムスリムの買い物の行動アクションは、
ハラールマークの確認(ハラールマークが無い場合、成分などの確認)→値段という流れが一般的になります。
ハラール認証がされていない商品の場合、ムスリムはまず商品の成分を確認するという手間が発生します。
ハラールマークが目に入ればスムーズに商品を手に取ることができます。
企業視点
ハラール認証を取得し、適切なマーケティングを行い商品を販売することで、
ムスリム市場を取り込む
ことができます。
現在、日本国内には、約30万人の在日ムスリムがいます。
ハラールマークがある商品とない商品では、前者の方が商品を手に取ってもらえる確率が多いに高まります。
日本ではハラール認証について普及が遅れているハラール後進国であると言えます。
ハラールマークを掲載することによって気にされることのなかった、在日ムスリムにアプローチすることができます。
ハラール認証を取得に掛かるコスト
ハラール認証を取得する場合に掛かるコスト(費用)は、
・現状、認証取得する団体によって様々
です。
現状は世界で統一されておらず、価格はそれぞれの団体によって違います。
高額な見積もりを出す海外の団体もあれば、「無料」で対応してくれる日本の団体もあります。
認証取得の他に、環境整備などのコストが掛かります。
低コストでハラール認証を取得したい担当者はまずお見積りを出してもらいましょう。ちなみに「ハラール・ビジネス・オンライン」では、無料でハラール認証取得費用の見積もりを貴社が扱う商品別にお伝えしているサービスがございますのでお気軽にご相談ください。
ハラール認証の取得方法と取得までの期間
ハラール認証の取得方法は、まずハラール認証団体へ連絡を行います。
費用や取得までの流れを確認し取得のための契約を結ぶと、一般的には以下の工程で取得を目指します。
※団体によって大きく異なることがあります。
- 企業側の資料準備(原材料の仕様書、製造フローなど):2週間
- 認証団体による資料事前チェック:1週間
- 現地工場監査、指導および打合せ:1日
- 認証発行:1週間
HBOの専門家菅野氏のお話によると、
ほとんどが1か月で取得できている
とのことです。
しかし、ハラール認証の知識や、イスラム教やムスリムに無知な方が担当する場合、予想以上に時間が掛かってしまうことがあります。
日本で言えば、
「ISO」や「Pマーク」などの情報セキュリティの認定取得に近い(そこまで費用も掛からない&厳しくはない)
と思っていただければと思います。
やはり詳しい専門家などと一緒に進めていったほうが正確に短時間で取得することに結びつきます。
詳しい内容はこちらの記事でご紹介しています。
※【関連リンク】ハラール認証の取得は難しくない【3分で完全理解】
ハラール認証団体の選び方
ハラール認証団体の選び方のコツは以下になります。
- 日本にある認証団体で最も実績のある団体を選ぶこと
- 日本のビジネスマナーが通用する団体にお願いすること
- 長期的運用コストが安いところ
詳しい内容はこちらの記事でご紹介しています。
※【関連リンク】ハラール認証の取得は難しくない【3分で完全理解】
ハラール認証を取得したほうが良い企業
(A) 日本に旅行に来られるムスリムを対象としたビジネス
(B) 日本在住の(主に)外国人ムスリムを対象としたビジネス
(C) 海外ムスリム(外国)を対象とした海外ビジネス
です。
上記に当てはまる企業でさらに業種別でみると、
- 食品メーカー
- レストランやバーなど飲食店
- 美容メーカー
- その他 ホテルや教育施設など
取得している企業が多い傾向です。
もし、海外進出でイスラム圏への進出を初めて検討しているなら、まずは在日ムスリムに対してテストマーケティングを行うことをおすすめします。
詳しい内容はこちらで紹介しています。
※【関連リンク】ハラール認証を取得すべき企業とは?【プロが解説】
ハラール認証取得後の効果的な運用方法
ハラール認証を取得したからと言って、必ずムスリムによる売上が向上するとは限りません。
その商品ごとに適切なマーケティング運用を行っていなければもちろん売上に結びつく可能性は低くなります。
こちらではハラール認証取得後の運用についてのコツをご紹介しています。
※【関連リンク】ムスリム向け商品が売れない理由と解決方法【プロが解説】
ちなみに、ハラール認証取得後、
「これからどう販売していくか悩んでいる」
「すでに運用しているがなかなか上手くいかない」
「ハラール商品のマーケティングを調査する時間がないなどお困り」
上記のようなお悩みをお持ちの方は、「ハラール・ビジネス・オンライン」が提供する『HBO ハラール テスト販売サービス』をご利用ください。
専門家による無料相談から、貴社商品のテスト販売(オフラインorオンライン)、在日ムスリムによるフィードバックレポートなどすべてワンストップで対応することができます。これから取得検討している企業はもちろん、すでに取得済みでマーケティングを強化していきたいなどございましたらお気軽にご相談ください。

ハラール認証 補足情報
さらに理解を深めるべくHBOでご紹介している補足事項をお伝えします。
ハラール対応してほしい人気商品は醤油!
HBOの調査で分かったこととして、在日ムスリムがすぐにでもハラール認証取得(ハラール対応)してほしい商品は、なんと「醤油」です。
詳しい内容はこちらの記事で紹介しています。
※【関連リンク】ハラール対応してほしい!日本食品は?【ムスリムの声BEST10】
他にもこんな商品が求められている!などとても面白い発見がありました。
【動画】ハラールフードコンサルティングとは?
ハラールフードの概要やマーケティングの基本や魅力を「ゆるべーる ~心に虹の架け橋を~ 2020年11月22日(第19回)」に出演し、説明しております。とてもわかりやすく耳よりな情報を発信しております!ぜひご覧ください。
【動画】ハラールとは?
こちらの動画では、ハラールの概要と日本企業がムスリム世界でビジネスをスタートする上で必要最低限の情報をお伝えしています。これからハラールについて詳しくなりたい方やビジネスでハラール認証の取得を考えている方はぜひご覧ください。
協力
菅野幸介氏(Islamic Food Consulting代表)

略歴:
琉球大学農学部卒、キャリアの殆どを海外市場で過ごし、業績アップ専門経営コンサルタント・化粧品会社の海外事業等を手掛けるうちに、日本製品xハラール市場の可能性に気づき、2018年に独立、ハラール専門のマーケティング会社Islamic Food Consulting代表となる。口癖は
「売らないならハラール認証を取る必要がない」
「販路を持たない人間はマーケティングコンサルタントではない」
「売るための努力をしないなら情報は取らないほうがいい」
と、一貫して販売・販路にこだわるマーケティングが持ち味。日本国内外のハラール市場・販路について情報を日々自分の足で稼ぐ、ハラールハンター。