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ハラールかハラームなのか判断の仕方【プロが解説】

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餃子

この商品orメニューは、「ハラーム(禁止されるもの)になる?」それとも「ハラール(合法とされるもの)になる?」

今回は、自社で扱う商品やメニューがハラールなのか?もしくはハラームなのか?お悩みされている方向けに、ハラールなのか判断の仕方を今回お伝えします。筆者が経験した内容を元に勉強していきましょう。

これってハラール?

この前、ハラール認証団体の理事長から、面白い質問を受けました。

「菅野さん、ここにハラール認証を受けたお弁当があります。
このお弁当は、ずっとハラールだと思いますか?」

ハラール認証を受けた商品が、【ハラール(合法)】じゃなくなる条件としてぼくがすぐに思いついたものは、以下でした。

  • 製造途中で間違って豚由来の成分、おかずなどが混入している
  • 間違って、お酒やワインなどがこぼれてかかってしまっている

これらも当然ハラールではなくなる(その混入などが起こったあとの食品はムスリムには提供できない)のですが、それにはスルーする形で、理事長はまったく違う視点のなぞなぞを更に用意していました。

  • 【Q1】 ズルして得たお金で買ったハラール弁当は、ハラールか?
  • 【Q2】段ボール入り餃子は、ハラールか?

これは、なかなか手ごたえのあるなぞなぞでした。イスラム教について詳しく知っている訳ではない、非ムスリムのぼくからすると、コーランという手がかりはありません。
あくまでも、日本人的に条件考察を行って、推測してみることにしました。

Q1: 不正所得で購入したハラール弁当はハラールか?

ハラール弁当自体は、認証もきちんと取得し、食材、製造工程ともに問題ないものという前提で考えます。
モノ自体は、ハラールというわけです。

ここに、「ズルして得たお金で購入」という「行為」が加わります。
どうも、この「行為」に鍵がありそうです。

ズルをする、という行為は何らかのルール(ハラール)を破っているわけですから、ハラーム(非合法)という事になります。
非合法に得たお金でハラール食品を買っても、その食品は自分の手元に渡った時点でハラールではなくなるのではないかと。
商品そのものに問題があるのではなくて、行為のほうに問題があるせいで。

上記のように説明した結果、理事長はニッコリ微笑みました。
どうも、正解だったようです。この場合のお弁当はハラールではなくなるようです。

ポイント

「行為」もハラールと関連する重要な要素。

Q2: 段ボール入り餃子はハラールか?

正直にいうと、「ぼくはこれはハラール(合法)に違いない」という確信がありました。

結論からいうと、これもハラールではありませんでした。

ぼくがなぜ段ボール入り餃子をハラールだと考えたかというと、段ボールは基本的に、紙(植物)だからです。
味や感触はどうであれ、白菜とそう変わらないじゃないかと。
この農学部的発想については、同じく農学部出身の理事長は同意してくれました。
「成分的にはそうです」と。(口にすると有害なコーティング剤、ホッチキスの針、有害インクなどが混入していた場合は別ですが)今回のハラールではないポイントは「決まり事」についてでした。

段ボール入り餃子がもし、原材料に「段ボール」と書かれていた場合は、きちんと約束通り(仕様通り)作られているので、問題ではないことになります。

ただし、原材料には書かれていない材料が使われているとなると、これはルール通りに作ったわけではないという事になります。

つまり、成分的にアウトなのではなくて「意図しない混入物ということだからアウトだ」という事です。
これは正直、なかなか深いなと思いました。宣言したものが入っていない場合、または宣言していないものが入っていた場合は、確かにルール外ということになります。
たこの入っていない悪徳屋台のたこ焼きなんかも、ハラームになりますね。
ただし「タコ入りたこやき」と書いていた場合の話ですが……。(たこ焼きにはタコが入っていないといけない、という決まりや法律は確かにないので……。)

ポイント

事前に決めたことが行われなければ、ハラールではなくなる。

既存のメニューを変えたくなったらどうすれば?

食品メーカーでは時々、製品改善やリニューアルなどで材料が変わったり、追加や削減になったりします。
ハラール認証を取得済の製品でそういうケースが発生したら、どうすればいいのでしょうか。
そのままにしておくと、ハラールじゃなくなる可能性がありますよね。
そう質問したら、理事長は仏のような(ここはアラーのような、と書くべきなのかも知れませんがイスラム教は偶像崇拝を禁じているのでアラーの像が思い浮かびません)顔をして、こう教えてくれました。
「簡単です。変更するよ、ということを、ハラール認証団体に相談すればいいのです。
変更した製品がそのままハラールとして続けられるかどうかは、認証団体であれば簡単に答えが出ます。
仮に変更したあとで報告しても、結果として製品に問題がないと判断できれば、ハラール認証をはく奪されることはありません。

一番問題になるのは、変更したけどずっと認証団体に相談もせず、チェックも受けない
でそのままハラール商品として販売することです。追加する材料が問題あるかどうかを
認証団体にチェックしてもらうのには時間はそんなにかかりません。

認証団体は、NGを出すための機関ではなく、ハラールを取得するための機関だという事を忘れないで下さい。解決するための方法を一緒に考えるのがハラール認証団体えです。」

最後のほうは、なんだか弁護士のCMを見ているような感覚になりましたが、確かに法律について相談するのが弁護士だとしたら、ハラールというある確固とした特殊な決まりについて知りたい、相談したい時は、ハラール認証団体の方に聞くのが一番早くて確実だということは、間違いないなと思いました。

今回のなぞなぞを出されたことで、
「イスラム教でいうハラールとは単なる品質チェックや豚混入チェックではなく、生き方そのものを問うものです」
という意味が、ちょっとだけ深くわかった気がしました。(全部わかった、とはとても言えませんが。)

ハラールなのか個人のこだわりなのか、そこは要注意

日本人はとにかく、知り合いや近くの人の意見を真に受けて、その話を起点に概念を作ってしまう、悪い癖があります。

近くのイスラム教徒の外国の方に聞いたらこんな事を言われた、これってハラールなんですよね?という質問は、ぼくのところにもよく寄せられます。

例えば、ある厨房でムスリム向けの食事を作るときに、料理酒をアルコール分を飛ばして使うから問題ないですよね?とムスリムの方に確認したら、OKと言われた、という相談(ハラールだという主張)です。
この方からすると、ムスリムがOKって言っているのだからハラールでしょう、問題ないでしょう?という事が言いたかったのだと思いますが、これはハラールでなく、このムスリムの方なりの「妥協」です。イスラム教で「キャース」と呼ばれる、判断基準としては一番最後の砦、「自己判断」です。

このムスリムはコーランに、
「飲んで酔っ払うアルコールが入ったものは食べてはいけない」
という内容があることを知っています。
一度でも入ったら、飛ばそうがダメなのです。
(飛ばしたらOK、という主張は、完全に飛んだか科学的に証明できない点で、ムスリムにとってかなり暴力的なものです。)

ただし、日本の調理師がハラールについて、イスラム教についてよく知らないという事をよく認識しているから、異国でハラールについて主張しすぎるのは住まてもらっている日本に申し訳ない、と考え、「キャース(自己判断)」という最終手段を使って、妥協しているのです。(ほんとうは使ってほしくないのに)この妥協を真に受けて、ムスリムがOKしたからハラールですよね、ムスリムに提供できますよね、という対応をしてしまうと、日本人が誇る「おもてなし」どころか、単なる「自分ルールの押しつけ」になってしまいます。

日本人にとってわかりやすい例

日本人にもわかりやすい例として、
「ネズミを一回入れて煮込んで、除去したスープだからぜひ食べてください、ネズミが食べられない日本人にも問題ないと思います」
と言われた料理を、われわれは快く口にできるでしょうか?
99.9%の日本人は、そのスープに口をつけることすらしない、とぼくは信じています。
だって、ネズミが一度でも入ったものを、除去したからといって食べる気にはならない、完全に除去なんてできるはずがないと知っているから。

ムスリムにとっての料理酒飛ばしも、まったく同じです。
嫌いどころか、生活ポリシーとして口にしてはいけない、口にしたくないものを、わざわざ一度入れて除去したからといって食べなさいと言われることの苦痛は、上記のネズミと同等か、それ以上です。

日本人にとってのネズミは単なる好き嫌いであるのに対し、ムスリムにとってのアルコール(と豚)は、ライフスタイルとして口にしてはいけない、というもっと強い信念に基づくものだからです。

なぜノンアルコールビールやノンポークと書かれた製品がムスリムに不快だと思われるか、今回の話にかなりの答えが含まれているのではないでしょうか。
ノンネズミビール、ノン昆虫ラーメンとラベルに書かれた商品をスーパーでぼくたちは手に取るかどうか結果は明らかですね。

ハラール認証を完全理解しよう

ハラール認証にもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

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ライタープロフィール
菅野幸介氏(Islamic Food Consulting代表)

菅野幸介氏のプロフィール画像

略歴:
琉球大学農学部卒、キャリアの殆どを海外市場で過ごし、業績アップ専門経営コンサルタント・化粧品会社の海外事業等を手掛けるうちに、日本製品xハラール市場の可能性に気づき、2018年に独立、ハラール専門のマーケティング会社Islamic Food Consulting代表となる。口癖は
「売らないならハラール認証を取る必要がない」
「販路を持たない人間はマーケティングコンサルタントではない」
「売るための努力をしないなら情報は取らないほうがいい」
と、一貫して販売・販路にこだわるマーケティングが持ち味。日本国内外のハラール市場・販路について情報を日々自分の足で稼ぐ、ハラールハンター。

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