ハラール認証の取得は難しくない【3分で完全理解】

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ハラール認証の取得は難しくない【3分で完全理解】

ハラール認証 取得「ハラール」や「ハラル」という言葉を日本でも耳にするようになってきました。
ネットで調べても「ハラール認証を取りましょう」とか、「オリンピックに向けてハラールが熱い」といった、広告めいたものが大半か、もしくはイスラム教について長々と説明された、難解な宗教的翻訳文が多くを占めているのが現状です。

【ハラール認証の取得は難しくない】について、今回も、Islamic Food Consultingの代表:菅野氏にわかりやすくまとめていただきました。

※前記事:ハラールとは?結局何なのか?【3分で完全理解】

ハラール認証取得は難しいか?

結論から言いましょう。

  • ハラール認証の基準そのものは簡単
  • ハラール認証団体選びは慎重に

この2つのポイントさえ覚えておけば、大丈夫です。

はじめにハラール認証について調べる時にこの2つを混在させてしまって、先に進めなくなっていることが大半ですので、この2つを切り分けられるだけでも、ハラール認証取得+ハラールビジネス開始に大きく前進したと言えます。
逆に言えば、競合他社はいまだにここで足踏みしている可能性が高いため、ここから抜け出せれば他社に大きく差がつけられます。

ハラール認証基準は難しくない

イスラム教におけるハラール基準とは、「イスラム法に沿っていないものを使用していない事」を証明することになります。
基本的には

  • 豚由来の成分が製品に混入・残留しない
  • 飲むと酔っ払うアルコール成分が製品に混入しない(※)

上記の2つを満たしている事を原材料監査、製造プロセス監査にて専門のハラール認証監査員にチェックして貰うことになります。

問題があってもすぐNGではない

信頼できるハラール認証団体の場合だと、食品工学、製造プロセスに精通した理系出身のムスリム監査員がきちんと原材料と製造工程を実地チェックしてくれます。

仮にこのチェックで問題が見つかった場合でも即NGとなるわけではなく、改善が見込める場合はその修正後にもう一度再検査してOKになる場合が殆どです。

ハラール認証を受ける前に完璧な準備をしておく必要はなく、基本的には事前打合せ、プレ監査の段階で下見をしてもらう事で、ハラール認証基準を満たすための改善アドバイスが入手でき、8-9割の企業が問題なく認証を取得できます。

日本企業の場合、認証を受けるまえに完璧な準備を行う必要があると思ってしまい、その「完璧な準備」が何をしたらわからない、という皮肉なジレンマで認証を要望できない、という笑えないケースも沢山みてきました。

おすすめのやり方は、「とりあえず今のありのままを認証団体に見てもらう」ことです。そうすれば、どこを改善すべきか、1回で教えてもらえます。自分で調べて時間をかける事はナンセンスです。(時間もコストである事をお忘れなく。)

ISOの取得と似ている

ハラール認証の監査現場をたくさん見てきたぼくだから言えることですが、実はハラール認証で見られるポイントは、ISO取得と似ています。
ハラール認証の肝は「コンタミネーション(混入)が無いか」となるため、コンタミネーションが起こりやすい現場は改善の必要があります。(これはハラール認証における問題というよりは、製造現場の管理の問題という根本的な問題の改善ですが)

基本的にISOが取得できている企業・工場であればハラール認証は殆どの場合取得できます。

豚由来・飲むと酔っ払うアルコールをハラール製造ラインに混入させるような輸送管・パッキング設備を併用している場合は別ですが、それらを分別でき混入が起こらない事を証明できれば、豚・アルコール使用製造ラインを持った工場でもハラール認証を(製造ラインとして)取得が可能になります。

ハラール認証取得にかかるコスト

認証コストに関しては、現状は世界で統一されておらず、価格はそれぞれの団体によって違います。
とんでもなく高い認証料をふっかけてくる海外の団体もあれば、「無料で良いですよ」という日本の団体もあります。

無料が必ずしも良いとは限らず、上記で述べたような「きちんと食品工学・製造ラインを理解した理系の監査員」が居る認証団体に相談すべきだとぼくは考えます。

ハラール認証とは、宗教的な「よくわからない何か」ではなく、列記としたサイエンスの検査だからです。宗教的に偉いイスラム教の先生が、食品工学に詳しいかというとまたそれは別だからです。

どの団体に相談すればいいかわからない場合は、HBO編集部の「ハラール認証即時見積サービス」を利用すると良いでしょう。年間300件以上の相談実績に基づく、信頼できる認証団体に相談が可能です。

例えば夫婦二人で作っているようなお豆腐屋さんで、ムスリム顧客が食べたいとわかっているような場合は認証団体によってはかなり安く(または無料)で認証が取得できるケースも沢山見てきました。これは、認証団体は必ずしもビジネスを行っているわけではなく、ムスリムが食べられるものを増やすというイスラム・コミュニティへの社会奉仕の一面を持っているからです。

その他、学校(大学)、病院、保育園などの食堂に対するハラール認証を無料で行っている認証団体もありますので、「ハラール認証即時見積サービス」から相談してみると良いと思います。

ハラール認証取得にかかる時間

基本的にはぼくが見てきた中では、ほとんどが1か月で取得できています。
内訳としては

  • 企業側の資料準備(原材料の仕様書、製造フローなど):2週間
  • 認証団体による資料事前チェック:1週間
  • 現地工場監査、指導および打合せ:1日
  • 認証発行:1週間

という形です。1か月以上かかるケースとしては、企業側の資料が揃わない(原材料仕様書)、工場監査の日程調整が進まない、など企業側の原因が殆どです。逆に言うと、資料さえきっちりそろっていて、監査の日程も決まっていれば2週間程度で取れてしまいます。

それでも、3年前からハラール認証を取得しようか迷っていてまだ取得できていない企業もたまにお見受けします。
どのような原因なのか、一度相談に乗ってみたい位です・・。

ハラール認証団体選び

ハラール認証そのものはそれほど難しくない事は上記までで何となく理解いただけたと思います。
ハラール認証団体の選定は、慎重に行って下さい。
「どれも同じ」ではありません。
「海外団体だから安心」でもありません。

まして、「対応してくれる相互認証が多いから安心」というわけでもありません。

ハラール認証団体選びのコツ

結論から言います。
選び方のコツは、たった3つです。

  1. 日本にある認証団体で最も実績のある団体を選ぶこと
  2. 日本のビジネスマナーが通用する団体にお願いすること
  3. 長期的運用コストが安いところ

この3つだけです。
そしてこの3つはそのまま、優先順位も表しています。

海外のハラール認証団体にお願いしないといけないのは、現地に工場がある場合や、その国に売ることしか考えていない場合、そして海外認証団体との交渉で騙されない自信がある場合、のみです。

基本的にハラール認証は世界的に通用します。一部の国では「自国の認証マークをつけろ」という国も出てきますが、ぼくならこういう国はまず市場として後回しにします。(世界中、どこにでもたくさんムスリムが居るのに、わざわざこんな面倒な国を選ぶ理由が見つからない)

日本にある認証団体で最も実績のある団体を選ぶ

よって、ハラール認証取得の最短の道は、日本で取得することです。

この際大事になるのが「日本企業向け認証実績数」です。

不思議なのですが、ごく一部の大手を除き、ほとんどのハラール認証団体はこの実績数を公表したがりません。
(海外では一般的にPRするほうが主流)

ぼくは実績数を公表しないという事は、

  • 実績が少ない → 日本企業向け認証経験が少なく、日本の事情がわかっていない可能性あり
  • 競合(認証団体)を意識している → 日本企業に多くハラール認証を取得してもらって、大きなビジネスを展開する

上記はイスラム的に正しいのに、認証団体同士が競合している時点でおかしい
という2つの点から信頼度が低い、という独自の評点をつけています。

ですので、HBOでは実績数を公表している団体でしか見積をお願いしていません。

飲食店の回転率と同じ原理で、認証実績数が多いという事はそれだけ日本企業の特殊性・製造プロセスの特徴をわかっているため、より日本企業が認証を取りやすいアドバイスが望めます。
また、実績数が多いという事は監査員も豊富に必要となるため、経験豊富な監査員が多数いるという、ポジティブなスパイラルが生まれます。

当たり前のことですが、市場原理に基づくと、実績No.1にはそれなりの理由があります。
ですので、初めての場合は実績数が一番多い団体にお願いする事が失敗しないコツです。

そして、実績数が多い団体は認証費用も割安になる傾向があります。
1社から多くの費用をもらって維持しなくても、すでに経営が安定しているためです。
これも普通の経済原理ですね。

日本のビジネスマナーが通用する団体にお願いする

2つ目に大事なことは、日本企業に対する日本のビジネスマナーを理解して対応できる団体にお願いすることです。
イスラム教のルールに基づくハラール認証であっても、これは費用の発生する、列記とした日本国内のビジネスです。
ここで妥協すると、認証取得後のフォローが受けられなかったり、質問をしても答えない(忙しいから)といった、日本的ビジネス感覚ではありえないような認証団体に引っかかってしまうケースも考えられます。

事前の相談時点で、きちんと信頼に値する日本のビジネスマナーがわかっている団体かを、見極めましょう。
「忙しいので返事ができませんでした」という認証団体もたまに存在しますが、ビジネスとして論外です。

長期的運用コストが安く抑えられる団体を選ぶ

3番目に見るべきポイントとしては、長期的な認証コストです。
ハラール認証は、取得時の初年度のほか、翌年度以降も定期的に監査が必要となります。
これは認証ビジネスというよりは、「毎年きちんとその企業がハラールに基づいて製造を行っているか」の定期チェックの意味合いが強いです。 新商品や原材料の変化などで、認証団体に申告なしでハラールでないものを使ってしまっていたりしないか、の健康診断とも言えます。

認証費用は初年度だけで比較するのではなく、翌年度以降も見て比較しましょう。
ぼくはハラールビジネスをおこなうのであれば、ハラール認証費用の比較は最低5-10年で見るべきだと思っています。

初回が安く見えても、翌年度以降も同じ金額を要求する認証団体もあります。
逆に、初回は常識の範囲内であるにもかかわらず、翌年度以降は「差分監査になるから」という理由で3割の認証費用(7割引き)になる大手団体も存在します。
余談ですがぼくは監査工数から考えて、後者の考え方がビジネスとして適格だと思っています。
トータルコストで考える事が大事です。

ハラール認証の取得はゴールではない

最後になりますが、ハラールビジネスにおいて「ハラール認証取得」はスタートラインよりもはるか手前です。
ハラール認証を取得することは大前提であるため、この時点で立ち止まっていては、とうていビジネスの流れはつかめません。

おすすめするわけではありませんが、もしも1年間何もせずハラール情報だけを集めて眺めているのであれば、どこでもいいから安い認証団体を探してまずハラール認証を取得してしまって、マーケティングを始めたほうが、余程コストは下がります。

その認証団体が使えない(翌年度以降も同額の費用を請求される、マーケティングに関して何のパートナーも持っていないので販売につながらない、対応が悪い)のであれば、携帯電話と同じで「乗り換え」をおすすめします。大手の認証団体は、他社からの乗り換えに対して寛容であるだけでなく、乗り換え認証時の手続きがかなり簡素化されています。

最初がいくらであれ、翌年度から7割引きで運用できるということになります。
機会損失こそが、最大のロスだというマーケティングの基本原則を忘れないようにしたいですね。

大手のハラール認証取得費用は、その先得られる売上から考えると、驚くほど安く設定されています。まずはビジネスプランを相談し、問合せを行う所から一歩を踏み出してみることをおすすめします。

次回は、「ハラールビジネスでの売り方の基本」についてお話しようと思います。

他にもこんなハラールのことが聞きたい!という話題や質問がございましたら、HBO編集部までぜひお問合せ下さい。意見いただけると執筆の励みになります。

※【関連記事】:ハラールとは?結局何なのか?【3分で完全理解】

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取材対象者プロフィール

菅野氏経歴:日系大手電機メーカーのエンジニア、上場経営コンサルティング会社の中国支社立上げ及び日本企業の海外支社業績Up支援などを経た後、熊本にある通販系高級基礎化粧品のグローバル事業責任者として「熊本に居ながら世界に売る」手法を洗練する中でハラールと出会う。認証取得に立ち会わなかった為、当初のハラール認証に対する印象は「懐疑的」でしかなく、認証団体も詐欺のようなものだと捉えていたが、ハラール市場についての展望と具体的展開手法を認証団体理事と質疑応答する中で、ハラールという市場性を確信し、独立を決意、「日本ハラール商品を海外市場に売る」事に特化したIslamic Food Consultingの代表に就任、現在に至る。
シンガポール・中国・バーレーン・オマーン等のハラール市場バイヤーとの直接取引の他、自身が顧問を務める西千葉モスク1階のハラールショップ「SALAM117」の経営を1か月で劇的改善させ、売上5倍+黒字化達成に導くなど、机上の空論ではない実弾と実績をベースにしたアドバイスは認証取得後の日本企業からも定評がある。