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インドネシア:モデストファッション業界、ラマダンから経済回復を期待

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写真:インドネシア、ジャカルタで2020年2月26日に開催されたMuffest 2020でコレクションを発表するデザイナーのWignyo。写真:Indonesia Fashion Chamber

新型コロナの拡大で買い物客が減り、生産と物流の減速によりサプライチェーンに混乱が起きるなど、インドネシアのモデスト・ファッション業界にも影響が出ている。業界関係者は、4月末から始まるラマダン(断食)による販売額の増加を期待している。

デザイナー兼経営者のRestu Anggrain氏は下記のように話す。
「中国からのポリエステル供給量が大幅に減少したことによって値上がりが起きている。
新型コロナで実際に影響が出ている。この業界は国際サプライチェーンの一部であり、中国がポリエステルを最も多く作っているため、原料価格が驚くほど高くなっている。インドネシアのデザイナーの多くがポリエステル原料を使っているが、インドネシアではレーヨンしか生産されていない。中国の旧正月に加えて中国のコロナ問題で、生産の予定に遅れが出た」

需要の面では、香港・マレーシア・ブルネイ・オーストラリア等のバイヤーが消費の冷え込みの影響を受ける中、販売量が減少している。

Restu Anggraini氏は、新型コロナで大きな影響を受けている韓国でのファッションショー開催やバイヤーとの商談計画も見直しているところだと言う。

「(ファッションショー)運営側と韓国インドネシア大使館がすでに、イベントを計画している会場の半径1キロ以内で新型コロナの死者が出ていると警告していた。

今年のラマダン期間の需要が去年と同様に、普段の3万枚の倍である6万枚を維持できることを期待している」

Restu Anggraini氏はラマダン用に3つのコレクションを発表予定だ。生産は新型コロナ発生前に始まっており、そのうち1枚10万ルピア(約760円)のスカーフ2万枚は事前注文システムで完売している。

Anggia HandmadeのオーナーAnggiasari Mawardi氏は、販売量が今年これまでのところ約20%減少しているという

「先の12月の新型コロナ発生後から販売量が少しずつ減っている。ファッション製品全体に対する消費意欲が減退している。消費者が人混みを避ける中、客足が遠のいている。ジャワ島以外から来るお客様もいるが、今は人々は他の島まで移動することを控えているので、実店舗での販売に影響が出ている。通年通りラマダン時期に改善し通常月の3倍の売上を期待している。三月初めにはブランド独自のECも立ち上げる」

Anggia Handmadeでは、ラマダン時期に通常2,000点を販売している。同ブランドの小売価格はおよそ35万ルピア(約2,700円)から250万ルピア(約19,000円)の範囲だ。

ラマダン向けに4月末リリース予定の、4つの新たなラマダン・コレクションの完成を目指している。

IFC(Indonesia Fashion Chamber)の議長も務める、バリを拠点とするデザイナーのAli Charisma氏も、販売量が減少していると話す。
「新型コロナ発生以降バリを訪れる観光客が減り、当社も影響を受けている。地元のマーケットは大抵ラマダンの時期の方が活発になる。デンパサールにいくつか店を持っているが、前回の断食月の4-10日目には人々がバリを訪れ、店の売り上げが倍増した。今年も良い状況になることを願う」

Ali Charisma氏の高級既製服の値段は300万ルピア(約23,000円)から2,000万ルピア(約15万3,000円)の範囲。普段は月に15-60着販売しており、その内80%はオーストラリア・クウェート・UAEなどに輸出している。

彼は、新型コロナによる損失を埋めるため、ShopeeやZaloraなど人気ECサイトでのラマダン時期の販売を検討しているが、大衆向けのプラットフォームでは高級品が売れない可能性を懸念している。ECサイトのラマダン時期の商品価格は大抵20万ルピア(約1,330円)ほどが上限だが、値段を下げれば、Ali Charisma氏のマージンが元々80%であったものが30%にまで下がってしまう。

全てが悪いニュースではない

良いニュースとしては、すべてのブランドが新型コロナに影響を受けているわけではない。

マーケティングを担当するMeta Khamalia氏によると、ElzattaとDaukyというモデストファッションのブランドを運営するElhijab社は、新型コロナの影響を受けていないという。

「我々の戦略は、ファッション・ショーやECを通してブランドの認知度を高め、直接販売を増加させていく事だ」とMeta Khamalia氏は話す。

Elhijab社は、ブランド認知度の高まりと売上の増加は、ニューヨークのブルックリンとマンハッタン、それに地元Muffest 2020のファッション・ショー開催のおかげとしている。同社はまた、12月のShopee HarbolnasなどのECプログラムにも参加しており、これも良い成果につながっているという。Elhijab社は、傘下のヒジャブ・ブランドElzattaは、ShopeeのHarbolnasプログラムを通して1日で27,000点の売り上げを達成したという。

Tenun GayaブランドのオーナーWignyo Rahardi氏は、顧客の殆どがジャカルタから来るので新型コロナの影響は受けていないと話す。

Wignyo Rahardi氏はジャカルタに8つ以上の店舗を持っている。月々の売り上げは約500点で、値段は50万ルピア(約3,300円)から200万ルピア(約13,000円)の範囲だという。
「通常なら、ラマダンの月には3倍近く需要が増加し過去のラマダンでは主に6割が男性向け商品を販売だった。3月に生産をはじめて、4月に販売を開始する。マレーシアやシンガポールのバイヤーもいて、元大統領のSusilo Bambang Yudhoyono氏など政府関係者にも販売している」

< Sigamp’s Eye >
編集者解説:インドネシアでは感染者数はあまり多くないと報告されているが、実際は医療環境がそれほど先進的ではない地域も多いため、日本と同じで実感染者数は把握できていないと考えられている。コロナ問題は、多くの業種の原料や製品が中国で作られている事から、影響が避けられない。今やマスクはおろか、そのフィルタの原材料である不織布でさえ、中国が世界生産の多くを担っている。服飾原料の多くも同様であるため、各国のアパレル業界は今年多くの試練を乗り越えないといけない。