ドイツ:ハラール化粧品・日用品が流行の兆し

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ドイツ:ハラール化粧品・日用品が流行の兆し

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ドイツはEU内でフランスに次いで2番目に大きなムスリム人口を抱えている。推定500万人のムスリムが連邦共和国内に居住しているが、市場で購入可能なハラール商品に関する消費者の認識が不足しており、またハラール商品自体の流通網もいまだに限定的である。

とりわけハラール化粧品とパーソナルケア分野は、幅広い大きな需要があるにも関わらずドイツでは未開拓のままである。

IKWの代表Thomas Keiser氏は、2019年の記者会見で「見た目・お手入れ・自己表現などの個人的なスタイルに消費する金額は、2019年のうちに140億ユーロ(約1.6兆円)になる」と宣言している。

IKWはドイツの化粧品・トイレタリー・香水類・洗剤関連業界を代表する協会で、430社を超える法人会員を擁しており、その年間合計取引額は188億ユーロ(2.2兆円)を上回っている。

これらの数字は、フランクフルトを拠点にするBeautylope Pure & Vegan Halal Cosmetics社の創業者Rachid Laarar氏にとっては現実と程遠いものだ。

Rachid Laarar 氏は新興企業の抱える課題について、「Beautylope社を始めた5年前、私たちは多くのムスリムに私たちの商品の価値について啓蒙することから始める必要があった。啓蒙活動に費やした投資に見合うほどの売上は得られなかった」と語った。

Rachid Laarar氏のEコマースの会社は、初開催となる展示販売会Halal Hannoverに出展し、ドイツ産マニキュアやイギリス産手作りメイク商品などのハラール認証化粧品の販促を行う。

Rachid Laarar 氏は「私たちのお客様の数は、起業以来6倍に増えた」と述べ、将来性のある小売パートナーとの商談に期待している。

市場調査会社Information Resources Inc.によると、ドイツ人は支出の約1割を美容および家事ケア商品に消費しており、ハラール認証化粧品とパーソナルケア商品はこの市場における競争激化に直面している。

DinarStandard社は「ハラールマークが貼られた化粧品に対する理解と信用は、オーガニック・サステナブル・ビーガン・ナチュラルと比べると少なく、イギリスとフランスでは40%未満、ドイツでは30%以下、そしてイタリアでは20%以下となっている」と、State of the Global Islamic Economy 2019/20レポートの中でEuromonitorのライフスタイル調査を引用して述べている。

ハラール化粧品およびパーソナルケア商品は、ハラール食品のように、よりエシカル(倫理感に適合)な製品を求めるより多くの消費者層の需要を満たす、幅広い機会を創出する可能性を持っている。

「一方でより大きく成長するためには、Beautylope社の商品を小売店の店頭でも在庫してもらう必要がある。ますます多くのお客様が購入前のトライアルを求める様になった今では尚さらだ」とRachid Laarar 氏は語る。

Hanaa Ryari氏によって開発されたドイツハラール認証ブランドであるVIE Halal社は、この分野で成功を収めている。26カ国2,400店舗で55,000の製品群を扱う美容販売会社のDouglas GmbH社の取り扱いを受けたことで、多くの店頭に進出した。

Douglas社の広報担当者は以下のコメントを行った。
「2020年1月以来、私たちはVIE Halal Cosmeticsをオンラインとドイツ国内34の実店舗の両方で運営してきた。VIE Halal Cosmeticsは、当社の取扱商品の中で現在唯一のハラール認証商品で、私たちは今ハラール・ライフスタイル関連の話題に注目している」

デュッセルドルフに本社を置くDouglas社は、2018-19会計年度において35億ユーロ(約4,000億円)の売上を計上した。

ハラール認証がイノベーションを促進する

ドイツにおけるハラール導入の成功例といえば、2019年上半期で17億ユーロ(約2,000億円)の収益を計上したグローバル展開する香料サプライヤーのSymrise AG社がある。同社の直近の年間売上高は2018年に31.5億ユーロ(約3,700億縁)で、2017年と比較して5.3%上昇した。

Symrise 社のハラール戦略担当役員Norbert Kahmann氏は下記のように語った。
「全ては30年前にインドネシアのクライアントが私たちからどうしても買いたがったある1つの香辛料から始まった。現在我々は全事業エリアで5,000を超えるハラール認証商品を取り扱っている」

Holzminden郡に本社を置き、30,000以上の商品を管理する同社は、ハラール認証製品を開発して商品化するプロセスを一本化する枠組みを作り上げた。

Norbert Kahmann氏は商品の技術革新について、「通常バニラエッセンスにはムスリム消費者には禁じられているアルコールが使われるが、Symrise 社では代替の製造プロセスを開発し、従来同様のリッチなバニラ風味をアルコール無しで抽出している」と説明した。

輸出の機会

DinarStandard社によると、2018年に640億ドル(約7兆円)だった世界全体のムスリム化粧品消費額は2024年には950億ドル(102兆円)に達すると見込まれている。商品開発に積極的とは言えないOIC(イスラム協力機構)諸国も、将来有望な輸出の機会に向けて準備している。

ドイツはすでにOIC諸国への化粧品輸出国の第3位に位置しており、State of the Global Islamic Economy 2019/20レポートによると2018年には11億ドル(約1,200億円)を売り上げた。

一方、国連のComtradesの統計によると、ドイツのエッセンシャルオイル・香水・化粧品・トイレタリー商品輸出額は115.8億ドル(約1.2兆円)で、2018年の国家総輸出量のわずか0.74%であった。

ハラール認証「資源消費」

Symrise社・Beautylope社・VIE Halal社などの事例がドイツにおけるハラール化粧品・パーソナルケア商品分野の積極的な発達を示している反面、その上向きの市場トレンドはハラールの需要だけによるものではない。

スイスに本社を置き、ホリスティック・ナチュラル化粧品で世界をリードするヴェレダ社は、ドイツにおいても確固たる足場を確保している。
Weleda社のコミュニケーション部長Tobias Jakob氏は
「当社が活動している市場において、我々の顧客はこれまでハラール認証に注目していなかった。新市場の開拓によってこの状況は変わるかもしれない」と語った。

ヴェレダ社の2019年ハラール分野の売り上げは3.3億ユーロ(約388億円)を誇り、東ヨーロッパとアジアにおいて2ケタ成長を記録した。

既にUAEとマレーシアに輸出をしている同社は、世界最大のムスリム人口を持つインドネシアへの輸出は未対応であるのものの、2020年は国際化戦略の継続によってさらなる売り上げの成長を見込んでいる。

「事前調査によれば、ハラール認証に必要な時間と資源の消費は膨大なものである。もしそれが人々にとって重要な要素となり市場に参入する基準となる場合今後自社商品に認証を取得することになる」とTobias Jakob氏は述べた。

HALAL HANNOVER

Pew Research Centerによると、ヨーロッパのムスリム人口は2050年までに全体の7.4%にのぼり、ハラール製品に対する需要を更に促進すると見込まれている。

Messe Deutschland AG社が主催するHalal Hannoverはこの進展を考慮に入れ、食品とライフスタイル商品に焦点を当てて2020年3月6日-8日に開催される。(※)

この3日間の展示販売会には、国内及び海外の市場から60を超える生産者、卸売業者、そして各種サービス提供者が出展を予定している。

同時開催の会議では、専門家によるコンプライアンスや認証に関するセミナーの実施を予定している。

また3月6日には、会議の一環としてドイツ語圏ヨーロッパの第1回GIES(Global Islamic Economy Summit)円卓会議の開催も予定されている。

※3月3日のHalal Hannoverの主催者による発表で新型コロナ流行の影響で展示会の開催は延期となった。

< Sigamp’s Eye >
編集者解説:ドイツは昔から自然派、ハーブを活用した医薬品や化粧品が多い事でも有名である。漢方の国・中国でもその名は知られているほどである。今年コロナ禍が無ければドイツで初のハラール展示会が開催される予定で、筆者も取材に行ける事を楽しみしていたが、残念である。ドイツを参考に、もとより自然派の材料を使う事が多い日本のコスメ・日用品業界においても積極的にハラール対応をする事で、ハラール市場における「Made in Japan x ハラール」で後発でも競合を巻き返していけるに違いない。

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