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インド: ハラール産業、食肉の枠越え大規模成長へ

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インドは世界第3位のムスリム人口を抱えるが、自国ハラール市場の持つ本来の可能性実現に必要とされるビジネスのエコシステムと意識レベルがまだ不足している。

DinarStandard社のデータによると、2018年には1.8億人のムスリムがインド国内で食品・医薬品・化粧品・旅行・衣料品・レクリエーション・文化に660億ドル(約7.2兆円)を消費したと推定されるにもかかわらず、ハラール製品の巨大な未開拓市場があると考えられている。

インドのハラール産業はまだ初期段階だとSeahath Canning Company社の共同経営者Anis Mohammed氏は語った。

同社は2020年1月18-20日にハイデラバードで開催されたインド初の大規模国際ハラール展示会に参加し、ハラール鶏肉や魚介缶詰の販売促進を図る。Anis Mohammed氏によると、魚介缶詰は今なお中流階級や上位中流階級向け製品と見なされており、ゴアを拠点とする同社にとって魅力的な成長市場となっている。

「ハラール食品についてもっと知ってもらう必要がある。ムスリムにとっての必需品というだけでなく、ハラール食品には健康面の素晴らしいメリットがあり、その点を強調すべきだ」とAnis Mohammed氏は言う。

インドの大手ハラール認証機関であるJamiat Ulama-I-Hind Halal Trustも、最大の課題はインドの消費者が本物のハラール認証製品を求めて声を挙げないことだと認めている。

最近まで、消費者が求めるのはほとんど食肉製品に対するハラール認証だけだった。

「インドではハラール認証が必要なのは食肉だけで、その他の製品はハラールだという思い込みがある。また、一部では宗教的な理由からハラール認証に反対する声もある。ただしそれにも関わらず、急激に伸びているハラール認証製品はこうした課題を徐々に克服しつつあり、将来に関して私たちは非常に明るい展望を持っている」とJamiat Ulama-I-Hind Halal Trustの書記官Niaz Ahmed Farooqui氏は述べた。

DinarStandard社が作成したレポート「The State of the Global Islamic Economy Report 2019/20」によると、2018年の輸出額は17億ドル(約1,885億円)と、インドはムスリム主要国に対する第4位の食品輸出国となった。そして輸出品目の大半を占めているのが食肉である。

インドは水牛肉の主要な輸出国だが、Niaz Ahmed Farooqui氏によると、サウジアラビア・UAE・マレーシア・インドネシアなどのムスリム主要国の要求に応えるためには、ほぼ全ての水牛・ヤギ・羊向け食肉処理場がハラール認証を取得しなければならないという。

インドの政府機関であるAPEDAによると、2019年3月31日までの昨会計年度(2018年〜2019年)のインドの水牛肉輸出額は36億ドル(約4,000億円)相当と、前年の40.4億ドル(約4,485億円)から減少した。そのうち47.34%をベトナムが輸入し(多くは中国に行くと見られる)、12億ドル(約1,332億円)に相当する33%がマレーシア・インドネシア・イラク・エジプト・サウジ・UAEに輸出された。

インドの供給業者の間には今、食肉以外にもハラール製品の輸出を多角化していくべきだという認識が大きく広まっているが、このプロセスはインド国内の意識変化からスタートするものだ。

「現在のハラール産業は主にハラール食肉の消費に関連したものばかりだ。ムスリム自身によるハラールの認識が『食肉か家禽類のみ』となっている。ムスリムやその他のコミュニティーのハラールに対する認識を大いに高めていく必要がある」とHalal Asia Servicesの創立者で社長兼CEOのMohamed Anas氏は言う。

同じくハイデラバードのハラール展示会に参加予定でチェンナイ拠点の認証団体Halal Asia Servicesは、製品認証・工程認証・様々な産業区分におけるハラール認証業界で働く専門家の育成や研修などのサービスを提供する。同団体は、UAEハラール認証団体ESMAのウェブサイトによると現在ESMAに登録されているインド唯一のハラール認証団体である。

市場関係者もまた、マレーシアやインドネシアなどのイスラム諸国がインドからの輸入はハラール食品・化粧品に限定するよう要求し始めてから、ハラール認証製品の需要が押し上げられたと言っている。

「このためマレーシアやインドネシアの市場に輸出を行う何百もの企業が自社製品のハラール認証を取得せざるを得なくなった」とNiaz Ahmed Farooqui氏は言う。

要望や意識の高まりを受け、Jamiat Ulamなどのインドのハラール認証機関は、化粧品・医薬品・ケミカル製品・バイオケミカル製品などに対するハラール認証の提供を開始した。

「当機関や他のいくつかの団体も、ハラール認証のための国際的な認定を取得する必要があった」とNiaz Ahmed Farooqui氏は言い、このことによってインドの輸出企業はインド国内でハラール認証を取得することができるようになったとの事。この機関はマレーシアJAKIMに認可されたインドハラール認証機関3団体のうちのひとつである。

現在インドにはNestle(ネスレ)、DS Group、VLCC Cosmetics、Mrs Bectors、Remidex Pharmaなど、ハラール認証製品の販売・輸出を行う大手企業が多数ある。

「世界だけでなくインドでもハラール製品の需要が高まっているということだ。国際的な認定を取得したことで、企業は国内外の需要に対応することができるようになった」とNiaz Ahmed Farooqui氏は付け加えた。

インドでハラール産業の国内および輸出の成長が数多くの障害によって苦しめられている一方、ハラール産業のプレーヤーたち、そして関連する事業者や代理店はその流れを変えようと、ハイデラバードでハラール展示会を開催するなどしている。

イベントオーガナイザーであるATOBA社のCEO兼ディレクターMuazzam Naik氏は、この3日間続くイベントを「東西のハラールバイヤーと供給業者の出会いの場」と表現し、トルコパビリオン以外にも100を超える出展者を見込んでいる。

< Sigamp’s Eye >
編集者解説:アーユルヴェーダ等、植物自然原料を基本としたインドの化粧品は以前からも近隣国のムスリムたちに受け入れられてきた。ここにきてインドでのハラール認証獲得が活発化することで、インド製品の周辺ハラール市場でのポジションは今後ますます高まってくる事が予想される。上記のように海外ハラール市場はすでに食品に限らず、化粧品・日用品そして医薬品まで市場チャンスが広がってきている事は日本企業も注目しておくべきだろう。

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