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ハラル認証の国際的統一化について

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ハラール食品業界は急速に成長する見込みだ。最新の2019/20State of the Global Islamic Economy報告書によると、ハラール飲食品の支出は2023年までに1.9兆ドル(約209兆円)に達すると見られている。国際ハラール食品市場は6.3%の年間複合成長率で成長し、2024年には1.97兆ドル(約218兆円)に達すると見られている。

シンガポールでは、ハラール食品業界の隆盛はハラール認証の成長に裏付けられている。シンガポールハラール認証機関MUIS(Islamic Religious Council of Singapore)の統計によると、2018年には約4,500施設、55,000商品がハラール認証取得しており、これは10年前の2倍であった。

政府機関・業界団体・企業がこの市場成長を活用し、ますますハラール食品業界を発展させるために努力してきた。

一つの例は、より多くのハラール食品生産者に対し、拡大する国際市場への輸出を可能にすることを目指す専用ハラールハブだ。2021年に完成予定の同拠点は、ハラール食品加工場・キッチン設備・冷蔵室・物流インフラが整い、ハラール飲食品企業に商品調達・生産・コンプライアンス・配給面での支援を提供するもの。

同時に、Warees Halal社はFHA-Food & Beverageなどの国際的イベントとも協力して、ハラール食品分野の主要業界関係者に、ハラール食品市場の最近のトレンド、課題やチャンスに関する知識を深める場となる初のHalal Theatre(ハラルシアター)の開催を目指している。

統一ハラール認証基準の欠如

ハラール食品業界が成長著しいことは明らかだが、それにも関わらず今も大きな課題に直面している。統一されたハラール認証の枠組みが存在していないことだ。統一された認証システム無しでは、国境を越えたハラール取引に影響があり、ハラール食品産業のさらなる成長が阻害される。

ある国の認証団体で認証を取得しても、他国で認められるとは限らない。そして多くの認証団体がハラールとは何かということについて異なる解釈を持っていることが、事態をますます複雑にしている。

例えば、マレーシア・ブルネイ・シンガポールなどの国々はハラール鶏の屠殺でスタン(電気的に気絶させること)を許可しているが、サウジアラビアはそれを認めていない。また、ワインビネガーについても各国異なる見解がある。

マレーシアは、人の介入によって生産されたものは非ハラールとみなしている。一方でインドネシアは自然なものでも、人によって作られていても、ワインビネガーをハラールとみなしている。このような違いがあるため、国際的だけでなくある地域内であっても、ひとつのハラール認証基準にまとめることは難しい。

結果として、ハラール食品分野で他国市場への輸出を目指す企業は、それぞれの市場の基準に合わせるために複数の生産プロセスを維持したり、ハラール認証を取得したりすることでコストが高くなってしまう。これが多くの企業にとってネックとなり、ハラール取引の減速につながる。

連携と統一が急務

国際的に統一された認証基準が無い事は、特に大手食品企業やムスリム主体ではない国にもハラール業界への投資とノウハウが広まる中、業界の可能性と機会を阻んでいる。

同時に、インドネシアのような国が新しい規制や認証枠組みを導入し、ハラール食品のサプライチェーンでブロックチェーンのような新たなテクノロジーを取り入れている中、国際的な統一化の必要性がますます高まっている。

業界は正しい方向に進んでおり、IHAB(International Halal Authority Board)やIHAF(International Halal Accreditation Forum)などの団体も設立され運営を開始している。今後、これらの団体はお互いに協力してハラール交易における障害を減らしていくために、調味料に使用してよいエタノール含有量、研究所の試験技術や認証プロセスなどに関する基本的なパラメーターに合意する必要がある。

どんな地域・国家や認証団体であれ、リーダーを特定し現在進行中のハラール認証基準の統一についての議論を加速することで、他の業界関係者に模範例を示していくべきだ。

ハラール認証基準の統一化は国際的ハラール交易の成長にとって決定的に重要であり、2020年も我々は今後にますます期待していきたい。

< Sigamp’s Eye >
編集者解説:ハラール認証の統一化は各国の企業が他国への輸出も狙う中で最も願う事でありながら、それぞれの認証団体の思惑(認証費用をどう分配するか、どの認証団体がシェアNo.1となるか)が絡み合い、実現はまだ先と思われる。ちょうど日本の交通カードが全国で使えるようになるまで長年を要したのと同じ原理である。当面の間、多くの日本企業は「相互認証」や「統一認証」を待つよりも、どの国で売りたいのかを明確にしつつ戦略を構築していく方が現実的で早道である事は間違いない。

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