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【DIYウムラ】プラットフォームで巡礼パックツアーを販売

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サウジアラビア メッカのグランド・モスク、カーバ神殿

サウジアラビア メッカのグランド・モスク、カーバ神殿を訪れる巡礼者。
写真:Paman Aheri/Shutterstock.com

インドネシア企業PT Central Global Networkが史上初となるDIYウムラ(小巡礼)プラットフォームを開設し、同じくインドネシアeコマース大手Tokopediaが旅行会社20社の巡礼パッケージツアー販売を開始した。

DIYウムラ 巡礼パッケージツアーとは

Central Global Networkは、過去7年間オフライン(リテール販売)でウムラパックツアーを販売しており、教養があり自立したデジタル系に強いミレニアル世代巡礼者増加に応じてこのプラットフォームを開発した、Ahmad Husaini CEOが話した。

「来年最低10万人の巡礼者の利用を目指している。我々のプラットフォームで旅行者はフライト・ルート・ホテル・旅行保険・ビザまで自分たちで手配できる」

プラットフォーム開設の背景

インドネシアは、オンライン観光ビザ申請でムスリム旅行者のウムラ(小巡礼)もカバーできるサウジアラビア49ヵ国の許可リストには入っていない。

しかし、サウジアラビア政府のウムラ部門の自由化もumra.id開発に繋がる要素のひとつだったとAhmad Husaini氏は述べている。

Syariah Mandiri銀行はumra.idに出資しており、支払システムも提供している。
銀行の97.3万人のモバイルバンキングユーザーの20%がumra.idを積極的に利用すると見込んでいる。

この新しいDIYウムラプラットフォームは、メッカとメディナの14,000のホテルを仕切るサウジアラビア旅行会社Dar Al Imanとも提携予定。 Umra.idは、取引があるたびにDar Al Imanからコミッションを得る構造。

Central Global Networkは、 自社のプラットフォームがTokopediaマーケットプレイスを含む競合ウムラ・プラットフォームにも引けを取らないと自負している。インドネシアeコマース大手であるTokopediaは昨年だけで73兆ルピア(約5,660億円)の取引額を達成し、11月初めにはウムラパックツアーを販売するイスラム系マーケットプレイスTokopedia Salamを開設した。

Ahmad Husaini氏は「インドネシアから毎年訪れる100万人の巡礼者の中にはリピーターも多く、彼らは常に今までと違った新たなオファーを探すだろう。

ツアーガイドの今後に影響

大抵は旅行会社を毎回変える。DIYのウムラプラットフォームは、巡礼者が必要とする全ての情報を提供する。
現代においては、旅行ガイドの重要性はかつてほど高くない。弊社プラットフォームでは、ショッピングセンター・地図・礼拝ガイドなど全ての情報を提供しており、ツアーガイドの必要性がなくなる」と話した。

Umra.idは、世界初のDIYウムラのプロバイダーではない。

10月には、イギリスSerendipity Travel社のRihaala.comが、サウジアラビアの9月観光ビザ提供開始したのを受けて、初のDIYウムラ提供ムスリムフレンドリーオンライン旅行会社となった。

ウムラの自由化は2018年12月にサウジ政府が巡礼旅行部門のためのデジタル設備開発のためにOTA Agodaと協定を結んだことから始まった。

サウジアラビアは2030年までに3千万人のウムラ巡礼者の来国を目指している。
2018年から2019年にかけてのヒジュラ暦1440年には760万人分のビザが発行された。
DIYウムラは増えているとはいえ、より伝統的なウムラパックツアーの需要もまだ存在する。

イムラム系マーケットプレイスTokopedia Salamは、現在20のライセンス保有ウムラ旅行会社と提携しTokopedia Umrah上で100以上のウムラ・パックツアーを提供している。

また支払い簡略化のためにBank Muamalat・Bank Syariah Mandiri・BRI Syariahと提携している。

ウムラパックツアーの今後

Tokopediaは、ハッジ・ウムラ管理総局(Directorate General of Hajj and Umrah Management)とも話を進め、政府のオンライン・ウムラ申請システムと連動し全提携旅行会社が宗教省の認可を得られるよう話を進めている。

総局は主に詐欺防止のためハッジやウムラ関連の機関を監視している。

Garri Juanda氏は、
「データ入力はまだ手作業の状態。一度連動すれば、パートナー候補の法律・ビジネス・財政等の記録が確認できるようになり、ウムラ旅行会社による厄介な行動を避けることができる。ウムラ旅行会社と連携する決断は、Tokopedia顧客からのインプットを受けて行われた。」と述べた。

彼はまた、サウジアラビア旅行部門の開放も一因として上げている。

ASPHURINDO(Hajj and Umrah Inbound Organiser Association)議長及びPatuna TravelオーナーSyam Resfiadi氏は、オンライン旅行会社はブームで利益も出ており、既存のウムラ旅行会社も準備の有無にかかわらず同じ方向を取らざるを得なくなるだろうと考えている。

しかしSyam Resfiadi氏はオフライン(リテール販売)のウムラ旅行会社にも引き続き独自の顧客層が存在し続けると考えている。

「委員会としては、新たなオンライン旅行会社の数が増えてもパートナーとして資格を持ったハッジ・ウムラ旅行会社が必要な限り存在し続けるだろうと見ている。オンライン旅行会社は単なるマーケットプレイスに過ぎず、巡礼者管理能力はないので、既存旅行会社ビジネスはアラーの思し召しにより健在である」と彼は話した。


編集者解説:ムスリムにとっては昔の日本の「お伊勢参り」以上に重要と呼ばれる、サウジアラビアへの巡礼。従来は旅行会社による申込が当然であったが、オンラインビジネスが急速に発達し、世界最大級の巡礼者を毎年送り込むインドネシアでは、パッケージツアーを嫌い自分でDIYを組み立てるネット予約が台頭してきている。オンライン販売が台頭しても従来の旅行会社にも需要は共存するだろう、という見方は一見楽観的にも見えるが、やはり初めての巡礼は安心できる既存旅行会社で相談したい、という初回需要や年配向け需要は残るというのは現実的な見解ともいえる。