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アメリカ:ハラール化すべきか否か? IFANCA CEOインタビュー

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アメリカ:ハラール化すべきか否か? IFANCA CEOインタビュー

IFANCA CEO
IFANCAの CEO Muhammad Munir Chaudry博士。 写真: IFANCA

この記事は、DIEDC(Dubai Islamic Economy Development Centre)の支援のもと作成されたDinar StandardのState of the Global Islamic Economy 2019/20レポートに掲載されたもので、オリジナルレポートはこちらからダウンロード可能。

IFANCA社は、人々の意識を高め消費者を教育しハラール商品生産サポートを通じてハラール制度促進を目的とするアメリカ企業である。

他組織・機関と協力しながら、どこに住んでいても人々が地元にいながらハラール商品が入手できる将来を目指している。 IFANCAは、食品科学者・イスラム教学者・食品製造業の知識経験を持つ専門家たちによって1982年設立された。自分たちもハラール商品の消費者だったこの創設者たちは、アメリカで適切なハラール食品を探す難しさを理解していた。この問題に対処するため、彼らはハラール啓蒙・ハラール教育・ハラール認証プログラムを立ち上げた。彼らの多くが今もIFANCAでリーダー的役割を果たしている。

アメリカには複数のハラール認証団体があるが、インドネシア・マレーシア・UAE当局が発表した最新リストによると、その主要イスラム3か国に認定されている団体はたったひとつだけである。

イリノイ州にあり37年の歴史を持つIFANCA(Islamic Food and Nutrition Council of America)は、一流のハラール認証団体として海外では有名であるものの、アメリカ国内でより幅広いイスラム経済エコシステム構築を目指して一層努力している。

ハラール経済の現況と今後について話を聞くためIFANCA CEOであるMuhammad Munir Chaudry博士にインタビューを行った。

Q: IFANCAはどのようにハラール経済の成長を可能にするのか?

A: IFANCAはハラール業界における思想的リーダーであり、ハラール経済の重要な担い手である。ハラール科学・法律学・認証のグローバルなリーダーとなることを目標に掲げながら進んできた結果このポジションを確立できた。ハラール業界全般及び輸出に関する知識の豊富さをもって、製造業者がハラール商品を効率的かつハラールに基づく生産のサポートが行え、複雑な商品情報を簡素化して顧客に伝えることができる。
IFANCAのハラール品質システム要件により、多国籍企業・中小企業・地元生産者・食品サービス提供者・ベンチャー企業による、厳格なハラール要件をクリアした本物の高品質ハラール認証製品の生産が可能になる。

Q: IFANCAがハラール経済のリーダーになれた要素は何か?

A: 業界で強いポジションを獲得できたのは、必要な資格を持ち尊敬されている宗教顧問・技術専門家・十分な業界経験、そして業界及び政府関係者とのグローバルなネットワークのおかげである。この首脳幹部を集め毎年IFANCA International Halal Food Conferenceを開催し、技術課題やハラール経済チャンス等について議論している。世界中から関係者が集まり、ハラール・コンプライアンスと市場成長の現況や今後について話し合っている。

Q: 世界で起きていることで、ハラール経済成長を後押ししている要因は?

A: アメリカ以外の国々では、複数のハラール基準や団体の存在により分断していたハラールエコシステムが段々と繋がり合ってきている。マレーシアの新たな組織IHAB(International Halal Authority Board)や、UAEのIHAF(International Halal Accreditation Forum)などのように、分散されたそれらの組織を統一して1つにまとめようとする動きが今まさに起きている。昨年マレーシアの首都クアラルンプールでIHABが正式運営を開始した。このことは、同団体がハラール認証により大きな連携をもたらす決意を示している。これは皆が何年も待ち望んでいたことだ。
同時に、ドバイのIHAFはハラールエコシステムのもう1つのニーズである認定にも取り組んでいる。多くの国々がハラール認証団体の許可システムを何十年も前から持っている。UAEは今、国際的基準と品質システム認定の統一化に取組もうとしている。
東南アジアは許可プログラムを認定に近づけており、中東および北アフリカは、信頼性を高めるためより良い管理体制をハラールプログラムに導入しようとしている。両分野が統合していければ、国際的なハラール基準のすり合わせ・統一化に繋がるだろう。

IFANCAは、このように繋がりを増すネットワークにこれからも積極的に参加していき、 IHAFとIHAB両方のイニシアチブに関わっていく予定。

Q:アメリカはハラールをもっと導入すべきか?

A: アメリカにいるムスリムにとってハラール製品を探す苦労は減ってきてはいるが、それは彼らが業界にハラール認証を要求したからではなく、ハラール認証製品が以前よりも多く輸入されるようになったり、一部の企業である商品部門が完全にハラール化したりしているからだ。例えば国際チョコレートブランドのゴディバは、IFANCAのアメリカハラール認証を受けたがアメリカでは当初ハラールマークを商品につけなかった。ゴディバが三日月とMのハラールマークを加えたのは2011年だった。
現在ゴディバは商品の大小にかかわらず、ハラール認証済商品には全てハラールマークをつけている。ゴディバの店頭に行ってハラールのチョコレートが欲しいと言えば、店員はハラール商品を選んで詰めてくれる。Saffron Road・Abbott Nutrition・Organic Valley・Nestleや他の多くの企業もIFANCAのハラールマークを商品につけている。
アメリカ・輸入製品にもハラール認証商品が目立ってきてはいるものの、ほとんどのアメリカ企業が輸出用のハラール商品しか生産していない。問題は、ムスリム消費者がアメリカ現地の食品生産者に対して、アメリカには800-1,000万人のムスリムおよび1,600-2,000万人のハラール商品消費者が暮らしている事実をきちんと伝えられていないことだ。
食品以外の分野でも、ハラール化粧品・日用品の認証需要が高まっている。IFANCAハラール認証においてこの分野はこの10年で年平均7%の成長率が見られている。
成長を促進するために、中小企業にもインキュベータープログラムを提供してはいるものの、認証を要望している殆どの企業は大手である。
大手企業にももっと、多くの商品提供を望んでいる。もちろん豚肉とアルコール飲料以外ならということではあるが、既存商品を既存製造方法のまま少しの調整だけでハラール商品に変える手助けができる。

Q: ハラール認証の今後はどうなっていくか?

A: ハラール認証需要は成長を続け、ハラール基準のすり合わせも進み、ハラール認証団体同士の互換性も高まり、規制団体や認定団体の間の多国籍的合意も増えていくだろう。国際統一ハラール基準を作ろうとする努力が続く中、ハラール関係者がより多くの議論に参加し基準をすり合わせ、認定における負担を軽減できるような包括的視野からの議論が起きることを期待している。そこには業界・輸入国・規制団体・消費者も含まれる。我々は全ての輸出関連ハラール認証団体を WHFC(World Halal Food Council)傘下にまとめることを目指して努力している。
ハラールの未来は明るい。IFANCAもその一端を担うことができ幸せに思っている。

< Sigamp’s Eye >
編集者解説:ネスレのキットカット等が東南アジアやイスラム諸国では当然のようにハラール対応が行われている事は知っていても、日本でもなじみの深いチョコレートブランド、ゴディバがハラール対応商品を用意しているという事を知っている日本人は少ないのではないか。日本企業はハラール認証取得について「高付加価値で高く売るための手法」だと勘違いしている事も多いが、世界ハラール市場では「ムスリム消費者という巨大ターゲットを掴む為の単なるマーケティング手法」であり、そこに価格差は生まれない。むしろ、普通にスーパーやコンビニで日常的に買うものがハラール化されるから、多くの需要が生まれるという事実を日本企業はもっと真剣に自分の目で見るべきである。身近な例で言えば、在日ムスリムに一番売れているのは100均にあるインドネシアのヘアオイルであり、業務スーパーにあるブラジルチキン(ハラール)である。

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