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意見:ハラール基準の統一が必要

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意見:ハラール基準の統一が必要

マレーシア国際イスラーム大学教授Irwandi Jaswir氏の寄稿

2018年ムスリム人口は世界65億人の18.3億人に達し、年間出生率は平均約1.80%の成長を見せている。

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イスラム金融を除くグローバルハラール市場は4.5兆ドル(約500兆円)規模とされ、そのうち飲食品が67%、医薬品が22%、日用品・化粧品が10%を占める。しかしながら、収益性の高いハラール産業は世界で様々なハラール基準が存在するという大きな課題にも直面している。

最近のハラール基準に関する研究では、各国やグローバル組織で独自のハラール基準を設立する意識が高まっていることが示されている。このため、1つの国に複数のハラール認証団体やハラール基準が存在することも珍しくない。

しかしこの傾向は、業界関係者やシャリアアドバイザー、そして特にムスリム消費者などにとって深刻な懸念となっている。

マレーシアやインドネシアのようなムスリム主体国家では、各国の基準団体によってハラール基準が指定され、認証団体によってハラール認証が行われる。また、ハラール基準を共有している国もある。Organization of Islamic CooperationのSMIIC(Standards and Metrology Institute for the Islamic Countries)のハラール基準は多くの国で採用されている。

非イスラム主体国家では、認証団体によるハラール基準がない国もある。それら国家のほとんどの政府が、ハラール業界の問題に対して無知であり無関心であるからだ。新たなハラール基準を設置して自国の認証団体による認証よりも、マレーシアやインドネシアあるいは SMIICなどの国際的ハラール基準の採用を望む国もある。

最悪の場合、公式のハラール基準を全く持っていない国もある。数少ないムスリム人口に関連するハラールの問題に無関心な国では、政府はハラール認証やハラール監査のための標準的な手続きの適用を許可していない。これでは、そういった国家全体、特にムスリムコミュニティーに対して規定される明確なハラール基準が存在しないため、シャリアの精神と美徳が否定されてしまうことになる。

単一の規制団体を通して国際的なハラール基準を設置したり、国際的にハラール基準をすり合わせたりすることは、ここ数年世界的に幅広く議論されている。世界的に認知され、全ての国の規制団体が承認するハラール基準の同意に到ることが理想だ。

何年もかけて草案を作り、枠組みを世界的に実施してきた International Organization for Standardizationは、世界的に適用され全ての国々に承認されている基準の一例だ。しかしこのビジョンの実現は不可能に近い。

一方でこの中途半端な態度はグローバルなムスリムコミュニティーにイスラム法律学の問題についての様々なマズハブ(イスラム法学派)の異なる解釈に関して意見の不一致が存在することによる。また、自分が最良の基準だと主張する国同士の不要な競争に繋がる可能性もある。このような現象はムスリム社会の分断を助長し、非ムスリム主体国家に暮らす少数派イスラム教徒がハラール商品を手に取るチャンスを奪ってしまう。

韓国の興味深いケースがある。彼女は化粧品会社を経営しており、商品にJakim(マレーシアのハラール認証団体)の認証を取得している。しかしながらインドネシアの市場に参入しようとしたところ、インドネシアのハラール認証(LPPOM MUI)を取得するよう言われたという。そこで彼女は「マレーシアとインドネシアのイスラム教はどう違うのですか?」と質問した。

多くの国々が他の国々の認証を受け入れることに前向きだ。また、マズハブに関する解釈の違いは、イスラム法学に関連する全ての問題のわずか10%の話だ。従って、世界統一ハラール基準を実施するというビジョンを実現するためには、全ての政府による強い政治的意志が必要である。

ハラール基準は、ハラール認証の公式の参照先となる。基準は食品・化粧品・食肉処理場・レストランのキッチン・ムスリムフレンドリーツーリズム等それぞれの分野に応じて設置される。それぞれの重要なハラール管理のポイントを特定することから始まる。

ハラール基準が特定の国で作られると、その特定の国でしか適用できない。

様々なハラール基準が存在すると、違う国でビジネスを開始・運営するコストが増大し、国際的ハラール市場に参入する企業にとっての障壁となっている。ハラール認証にかかる時間と追加コストはハラール業界成長の足を引っ張る。また間接的にイスラムに対する評判も脅かしている。

それゆえ、イスラム諸国が全ての国で受け入れられ承認されるようなハラール基準に向けた道筋を示し、様々なハラール基準のすり合わせを全ての国が目指し実現していくべきだ。

これができないと、ハラールビジネスとハラール業界全体に悪影響が出るだろう。ハラール基準とハラール認証に関する統一のルールがなく、複数のハラール商標とロゴがある状態ではビジネスも消費者も途方にくれてしまう。

< Sigamp’s Eye >
編集者解説:企業にとっては、ハラール認証の世界統一は理想的なゴールである。各国でハラール認証費用が必要な世界を望む経営者は居ないだろう。しかし、それが実現しないのもまた、各国のハラール認証・ハラール基準制定に関わる機関が世界での覇権を取りたいという経済原則に基づくという皮肉な話である。しかし、だからといってハラール認証の取得そのものを行わない、というのは経済的合理性に乏しい結論である。本文に出てくる韓国コスメ企業の話も、誰に言われたのか?結論はどうなったのか、という「事実」まで突き詰めていく事が大切だ。(尚、この結論に関しては各社それぞれ異なるため、他社のケースを鵜呑みにせず、自社のために自分で有識者・関係者に聞きまわって道を開く事をおすすめする。)

Irwandi Jaswir氏は、 マレーシア国際イスラーム大学教授であり、2018年のファイサル国王国際賞受賞者である。

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