
12月12日(木)、東京八重洲にて日本アジアハラール協会主催のハラールセミナーが開催された。もともとハラール認証取得済の日本企業向けに「ハラール市場で売るためのセミナー」と題されて企画されただけあり、50名強の来場者のうち約3割がすでにハラールを取得している企業であった模様。
第1部では日本アジアハラール協会のサイード理事長が「今更聞けないハラールをおさらいする!」というタイトルでハラールの基礎から現状の日本ハラール認証団体事情、そして多くの質問が集中した「海外団体との相互認証について」等のトピックで講演が行われた。どの認証団体でも良いからまずハラール認証を今すぐ取得し、18億人のムスリムという巨大な市場にアクセスしてみないか、という問いかけもあり、認証団体選びで踏みとどまっているハラール認証検討中の日本企業からは「まず認証をとってみるというアドバイスは非常に勇気づけられた」との声も上がった。サイード氏は、「認証団体に払う費用の10倍をハラール市場でのマーケティングに使って欲しい。そうすれば、認証費用の100倍の売上が見込まれると期待できる」と締めくくった。
第2部はIslamic Food Consultingの菅野代表が海外ハラール市場の販路について紹介。「ハラール認証を取るからには売れないと意味がない」というモットーを掲げる菅野氏は、認証取得済企業であればだれでもエントリーできる来月1月に実施されるシンガポールでの実店舗販売テストのプロジェクトや、2020年3月にプノンペンで開催される、1000USD-で出展可能なカンボジアハラール展示会の紹介を行った。また日本企業が陥りがちな「展示会での失敗例」を詳しく説明し、「お金を使うからには絶対に成功する出展を行うべき」だと強調した。講演の後半では、「ひとりQ&A」と題し、聴講者が普段から疑問に思っているであろうハラールについての疑問・質問を、自らが問いかけ答えるというセルフ方式で解説。「相互認証とは何か?」「ハラール認証取得の上で一番重要なことは?」等の9つの質問に回答を行った。最後は「ハラール x Made in Japanは最強」と自身が1,000日以上にわたり海外ハラール市場を渡り歩いてきた実体験をもとに日本企業を勇気づけるアドバイスで締めくくられた。
第3部は株式会社Makicomの須田氏が、2020年2月に大阪で行われるハラール展示会について説明。2025年の万博を控え2020年万博開催ドバイへ視察を行うなど、ムスリム・ハラール対応準備を着々と進める大阪での展示会への思いや狙い等を説明した。
セミナーの最後にはQ&Aコーナーが設けられ、「インドネシアで販売するための条件」や「マレーシアの取引先から言われた事への相談」など、具体的に各社が抱える質問・問題に対するアドバイスと背景の解説が行われた。
名刺交換の時間に第2部の菅野氏はLineのQRコードを表示し、「後から疑問が出てきたりした時でもいつでも聞けるように」と友達追加を推奨していた。(菅野氏のLine QRコードは下記ダウンロード資料より入手可能)
なお、セミナー講演資料は下記URLから期間限定で自由にダウンロード可能とされている。
<セミナー講演資料ダウンロードURL>
https://www.hikarijpn.com/download
今回のセミナー内容は下記の通りであった。
<セミナー内容>
1部:13:00〜14:30 今更聞けないハラールをおさらいする!
講師:日本アジアハラール協会理事長 サイード・アクター
ハラール認証、ムスリムフレンドリー認証、最新ハラールビジネスの展開について
までを簡単かつ詳細に解説します。
2部:14:40〜15:30 海外ハラール市場具体案のご紹介
講師:Islamic Food Consultant (IFC) 取締役 菅野幸介
「売れないならハラール認証に意味は無い!」というモットーを掲げ日々
マーケティングを行う菅野氏が、シンガポール販路や中国越境EC活用など、
「今すぐ出来る」「実現可能な」海外ハラル市場への具体アプローチ方法を
余すことなくお伝えします。
3部:15:40〜16:10 日本ハラール市場はここから始める!
Halal International Trade Show (HaITS)展示会のご紹介
講師:株式会社Makicom須田基紀
万博の準備を着々と進める関西ムスリム対応の最新情報および、来年大阪で開催される
ハラール展示会の情報をお伝えします。
< Sigamp’s Eye >
編集者解説:2020年オリンピックに向け準備が進む東京でのセミナー開催であったが、九州や四国など遠方からの出席も数多くみられた。講師が言っていたように2020年が終わりではなく、2025年の大阪万博に向け日本全体はこれからムスリム対応・ハラール対応がビジネスの1つのキーポイントになってくる事は間違いない。この「美味しい市場」を外国製品だけで埋められてしまわないように、日本企業は早く気づいてどんどん対応していって欲しい。蓋を開ければ、日本のハラール市場で儲かったのは行動が早かった海外企業ばかり、という悲劇が起こらないように。
関連記事:
セミナー:2019年12月12日開催―2020年に売るためのハラルセミナーin東京