インドネシア:シャリア経済基本計画発表(2)

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インドネシア:シャリア経済基本計画発表(2)

ジャカルタのムスリム向けアパレル工場で働く女性たち。

ムスリム人口の最も多い国インドネシアは、今回発表する初のシャリア経済基本計画で、無利息のイスラム銀行業を主流に押し上げること、またハラル食品・商品・サービスの国内生産増加を目指すという。

National Development Planning Boardの金融サービス部長Muhammad Cholifihani氏は、この計画は金融・製造・食品・ファッション・観光などのイスラム経済分野の成長計画概要を示すものだと説明した。

今回のシャリア計画は、複数の宗教から成る国家経済システムに取って代わるものではなく、経済全体の1つの要素としてムスリムフレンドリーなプログラムを通して発展をサポートするものである。

Muhammad Cholifihani氏は下記のようにコメントした。
「我々は経済規模、経済的自立、Global Islamic Economy Reportランキングについて改善を目指し、中小企業の強化も目標に含まれている」

企画委員会によると、関係者はイスラム金融周辺環境を改善することで、道徳的および社会的責任感のあるプロジェクトへの投資を望む石油マネー豊富な中東諸国からの投資を期待している。

政府関係者は発表前の基本計画の内容については公開しなかった。

インドネシア政府は2015-2019年国家中期開発計画でシャリア経済開発の促進を始めた。そこでもイスラム金融が基本となっていた。

2015年には、AKSI(Indonesian Sharia Financial Architecture:インドネシア・シャリア金融構造)のロードマップが発表され、翌年にKNKS(National Islamic Finance Committee:国家イスラム金融委員会)の設立につながる大統領令が発表された。

インドネシアは2018年のState of the Global Islamic Economy Reportのイスラム金融部門で10位だった。

2018年6月の時点で、インドネシアのイスラム金融は国家銀行資産の5.7%、金額にして444.43兆ルピア(約3.3兆円)にすぎなかった。Muhammad Cholifihani氏は、金融部門の成長が進まないのは資金難と専門的な人材が足りないからだと話し、政府関係者は10%まで数字が伸びることを望んでいると付け加えた。
「成長は他国ほど規模が大きくない」とMuhammad Cholifihani氏は話した。

ハラル認証

政府は2014年に発表されたハラル認証に関する法律を取り入れたと Muhammad Cholifihani氏は言う。この法律はハラル認証の規制団体としてBPJPH(Halal Product Guarantee Agency)の設立を定めるものである。

「認証によりインドネシアのハラル商品が海外でも認められるようになるので、このような機関が必要です。MUIには食品と薬品の部門があるが、政府の機関ではなくOIC(Islamic Conference Organization)にも承認されていない。農業・製造業・サービス業を含む16分野のハラル認定ができる部門があります。ハラル認証があれば人々はもっと安心できるだろう。輸出ができれば、GDPにも大きな可能性があり、貿易収支も改善される。ハラル認証のコスト削減で零細及び中小企業の価値が高まる。」とMuhammad Cholifihani氏は話した。

ハラルまたは道徳的な基準に基づいて、ムスリムはアルコール・タバコ・賭博・豚肉・武器に関わる企業への投資は禁止されている。

2017年だけで、インドネシアのハラル製品の消費量は、推計2.1兆ドル(226兆円)とされ、全世界消費量の37.6%に達した。政府関係者によると、そのほとんどがインドネシア以外で生産された商品だと言う。

「世界的にみて、インドネシアは主要生産国ではない。実際、インドネシアで売られる多くのハラル製品は、タイのような(非ムスリムの)国家から来ている。我々は生産者というよりは消費者だ。これが課題である。」とMuhammad Cholifihani氏は話した。

代替案

イスラム経済は、世界的な経済不安の時代にムスリム主体国家と非ムスリム主体国家に代替案を提示したと国連開発計画のシャリア金融専門家Greget Kalla Buana氏は話す。

イスラム金融業は、自身のシャリア経済エコシステムの一部としてグローバル基準で年に10%から12%の成長をみせ、世界で最も成長の早い産業部門のひとつになっており、2020年にはイスラム金融資産だけで3兆ドル(323兆円)を超えると見られている。

「これはイスラム金融だけの話で、他のシャリア経済部門は含まれていない。イスラム経済に大きな可能性があることは明らかだ」とGreget Kalla Buana氏は話した。シャリア経済の目標は国連のSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)と似ているとGreget Kalla Buana氏は言う。
「SDGsでも説明されているような人間の生活との様々な関わりがあるので、イスラム経済は単純な成長率ではなく、成長の背景にある実態でもある。例えば、道徳的・物質的・精神的・社会的・環境的側面から、貧困問題・飢餓・格差を軽減しようという取り組みがある。シャリア経済開発はSDGsの達成を助けるために必要だ」

イスラム経済システムは従来のものよりも利益をもたらすことができるとインドネシア大学でイスラム経済学を教えるRahmatina Awaliah Kasri氏は話した。
「例えば銀行システムで言えば、イスラム銀行機関の利益共有システムは利率に基づく通常の銀行システムよりも公平でより安定している。シャリア経済システムにより、より多くの人々が金融サービスにアクセスできるようになるだろう。従来の銀行や保険サービスを高利であるとして使いたがらないムスリム層が居るから。Zakat(施し物)やwaqf(寄付)などのイスラム教の経済手法は、従来の政府の貧困対策を補足できるかもしれない」

また、イスラム経済分野の成長はグローバル投資を惹きつける可能性があると Institute for Development of Economics and FinanceのエコノミストAbra Talattov氏は話した。
「ムスリム主体ではない国にさえ遅れをとっているので、インドネシアは迅速に行動しないと置いていかれるだろう。もちろん政府は物質的・非物質的インフラを構築しなければならない。シャリア経済システムは従来のシステムに反するものではない。最終的には人々は合理的に考えるもので、ある手法が利益になるのではれば、人々は興味を持つだろう」

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