レポート:西洋、ラマダン歓迎も文化受容はまだ先

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レポート:西洋、ラマダン歓迎も文化受容はまだ先

いつか、イスラム教徒と西洋の地元コミュニティーの間の文化的相違はあまりなくなってきているということに気づく日がくるだろう。ラマダンがその良い例だ。
ミシガン州のDearborn Fresh Supermarketで販売されているラマダンの飾り。
写真:AFP

ワシントンの人気レストランはラマダン期間の営業時間を延長し、日の出の2時間前から食事を提供する。イギリスのスーパーマーケットはHumzaのミートサモサやHariboのハラルグミベアなど多数のラマダン商品を用意している。

アメリカやイギリスでは、イド・アル=フィトル(ラマダン終了を祝う日)までの日にちを数えるためのラマダン用チョコレートカレンダーも売っている。クリスマスのアドベントカレンダーと同様の仕組みだ。

特にムスリム人口の多い西洋諸国でラマダンは大きなビジネスとなってきているが、中東のシーズンに合わせたモデルなどを踏襲してもっと大きくビジネスを狙うべきだという声もある。

ニューヨークの投資銀行家Richard Kestenbaum氏は最近、広告会社Webpalsが中東大手EC企業と協力し集計したデータを参考にし、アメリカ企業はラマダンのチャンスを活かすべきだと指摘した。
「マーケティング費用を増やしアメリカのムスリム消費者に注目することで、ラマダン前からラマダン期間中に極めて高いリターンが得られるだろう。データからも、ムスリム消費者はラマダン期間中に買い物が増える可能性がかなり高いと結論づけられる」

同データでは、中東の消費者はラマダン期間に特に活発に活動することが示されている。同月には頻繁にショッピング用アプリをダウンロードし、アプリ経由の購買も35%増加している。

昨年の英国におけるラマダン期間のビジネスチャンスについて、ムスリム向けブランディング・コンサル会社Ogilvy Noor社は強調する。Ogilvy Noor副社長Shelina Janmohamed氏は、ラマダンをイギリス最大の未開拓のビジネスチャンスであり、クリスマスとイースターに次ぐ規模」と表現した。

State of the Global Islamic Economyレポートによると、世界ムスリム経済は2021年には3.5兆ドル(約380兆円)を超えると見られており、西洋市場が今後ますますラマダンに関心を持つのは当然の成り行きとみられる。

400万人のムスリムを抱える英国では、ラマダン経済は2.3億ドル(約251億円)を超える規模と推定されている。345万人のイスラム教徒のうち80%がラマダンを実施しているというアメリカでも、おそらくほぼ同程度と考えられる。1か月間、朝日が登ってから日没までの間に断食するというイベントにも関わらず、世界中の商店が消費の増加が期待できるという逆説的な結果となっている。

はっきりしているのは、西洋企業がムスリムの存在をますます意識するようになっているということだ。ハラル食品・化粧品・旅行・イスラム金融商品・モデストファッションなどで利益をあげようとする動きが増加している。

(しかし、)文化的な受け入れに関してはどうだろうか。この点に関しては、まだ現在進行形と言わざるを得ない。

例としては、アメリカ議員に選出された最初のムスリム女性で、ヒジャブ(スカーフ)をつけたアメリカ系ソマリア人Ilhan Omar氏を巡る議論がある。

lhan Omar氏は、アメリカ大統領トランプ氏がツイートした映像に写っている。この動画では、911事件以降のアメリカ人ムスリムの市民権についてのlhan Omar氏のコメントが、ワールドトレードセンター崩壊の映像と並べて流されている。lhan Omar氏は、ウェストヴァージニア州議会のトランプ大統領の共和党ポスターでも、911のテロリストと比較する形で描かれている。

確かにlhan Omar氏の最近の問題に関するコメントは、必ずしも適切な判断に基づいているとは言えず、表現にも注意深さが足りない所があるとはいえ、大量殺人犯と繋げようとする目論見については彼女のヒジャブと信仰がもとになっているように思える。lhan Omar氏はこのような敵意に直面する、最も有名なアメリカ人ムスリムだが、このような目に遭っているのは決して彼女だけではない。

英国では、“イスラム恐怖症“を監視する国家的プロジェクトTell MAMAによると、3月15日に起きたニュージーランドのモスク2か所での銃乱射事件の後、イギリスで「事件」が6倍近く増えたという。その事件というのは、ムスリム女性に銃を向ける真似をしたり、イギリス系ムスリムとキリスト協会銃撃犯の行動を関連づけるようなコメント等だという。

西洋諸国に住むムスリムに対する商業的ニーズには応えようとする一方、なぜこのような攻撃的行為があるのだろうか。社会の文化的な認識や見方というのは、企業のビジネス戦略よりも変化が緩慢だからという説明がつくだろう。

いつか時期が来れば、我々は西洋の地元コミュニティーと(そこに住む)ムスリムと間の文化的相違がどんどん小さくなっていることに気づく日がくるだろう。ラマダンがその良い例だ。

例えば英国では、18才から24才が断食後のイフタール(Iftar:断食期の日没後に取る食事)に好むのはチキンとフライドポテトで、これはかなりイギリス的なチョイスと言える。アメリカのムスリム家族は、スフール(Suhur:日の出前、断食開始前の食事)のために、24時間営業のパンケーキチェーン店IHOPに当たり前のように並んでいる。

ビジネスを行う人々や企業は、ムスリムという層が西洋マーケットにおいて価値のある一群であることを知っている。この点に関して、ビジネスを行う人々や企業は、他の人々よりもずっと進んでいるのだ。

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