意見:おむつ・タイヤ・壁面タイル等にハラルは必要?

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意見:おむつ・タイヤ・壁面タイル等にハラルは必要?

「世界の全てを認証するわけにはいかない。しかし、認証がないものは全て疑わしいと考える国もある」と、Muhammad Munir Chaudry博士はクアラルンプールで開催されたHCBC(Halal Certification Bodies Convention)参加中に話した。

シカゴを本拠地とする認証団体IFANCA(Islamic Food and Nutrition Council of America)の会長は、会議に参加する一部の認証団体の間で話題となっていた、行き過ぎハラル認証に言及した。

オムツ・生理用ナプキン・再利用可能な手袋など、多くの人々がハラル認証が必要とは考えない商品について企業側がハラル認証を取得したことにより、この議論がますます活発化している。

THIDA(Taiwan Halal Integrity Development Association)の副事務局長Isa Chao氏は、不必要な商品にハラルマークを提供することは、認証団体の行き過ぎだと考えている。
「範囲を広げすぎだ。今まで長い間ハラル認証など存在していないし、出来たのはここ数十年のこと。それが今や変わったものにまでハラル認証を求めるようになった。認証団体として我々はこういった要求の多くを断っている」

陶器壁用タイル、銅製バルブと綿の靴下、カタツムリやコンドームにいたるまで、認証団体にハラル認証についての問い合わせが来ている。 Isa Chao氏の元にも車のタイヤについて認証の問い合わせが来たが、対応していないという。
「何がハラルで何がそうでないかを人々は昔から自分で判断してきたので、認証する必要のないものがたくさんある」

ハラル認証が新たな分野にも増えている背景には、一部の認証団体の「ビジネス拡大」志向があると彼は考えている。
「一部のビジネスはより多くの認証を獲得したがっている。認証が多ければ多いほど良いと考えるので、色々なものにハラル認証を発行している」とIsa Chao氏は付け加えた。

プレミアム料金

一方、シンガポールのSimply Halal Internationalハラル・コンサルタントFazil Hamid Maricans主任は、新たな区分を加えることは製造業者にとって良いことであり、消費者の利益にもなると考えている。
「新たなハラル商品を認証するというイニシアチブを進めることは、業界にとって良いことである」

新たなカテゴリーで最初に認証を受ける企業は商品をプレミアム料金で販売できるようにはなるが、値段を気にする消費者はハラル認証のない商品を買うこともできると彼は言う。しかし、競合業者もいずれ認証を受けることでますます競争が生まれる。さらに、もともとハラル認証を取得する必要性が無くても、各団体が原料・製造過程・道徳性を監査することで、ムスリム消費者に一層の安心感が提供できる。
「消費者がハラル認証商品に対して支払うプレミアム料金はいずれ下がっていくだろうが、少なくともハラルの選択肢を提供するというイニシアチブを選択している」と彼は話した。

市場原理

スペインのInstituto Halalの国際関係部を統括するBarbara Ruiz-Bejarano博士は、消費者がハラルである必要性を認めない商品やサービスについては、ゆくゆくは市場原理によって無くなっていくと考えている。

ブランドオーナーがハラルを販促ツールとして利用してきたのは確かだが、いずれ市場の需要がこれに制限をかけるだろうと彼女は話す。「需要がある適切な製品は売れるし、そうでないものはうまくいかない」

消費者は常に実際の行動をもって賛否を表すと彼女は考えている。戒律を遵守するムスリムはその製品が容認できると完全に納得して初めてハラル認証商品により多くのお金を払うだろう。

「最終的には消費者が決める。消費者は予算がある中で、自分の信条とのバランスをとって買い物をする。ハラル認証を申請して、そのコストを商品に上乗せしたとする。最終的にはこの商品は他の商品よりも高くなるが質的には同様である。そこで消費者は選択を迫られることになる。道徳的とは言えないかもしれないが市場が決めることだ」と Barbara Ruiz-Bejarano博士は話し、商品がハラルであることを、快適さや便利さより優先させてムスリム消費者に負担させることは道徳的グレーゾーンであると付け加えた。

イギリスを拠点とする Halal Certification Europeの最高責任者Yusuf Aboobakar氏も、新商品にハラル認証を適用することについて同様の実利的な考え方を持っている。
ビジネスが利益を追求するのは自然なことだが、ムスリム企業ではないほとんどの企業は、市場に対してハラル商品が持つ宗教的重要性を理解していないと彼は話す。

「ヨーロッパの企業は宗教に基づいて運営していない。彼らは特定のコミュニティーのために商品を作っているわけではないが、ハラル認証商品について市場性があることは理解している。ハラル認証が必要でない場合もあり、人々が本当は必要でもないものを買うときもあります。市場はそうやっていつも形成されている。」

大抵の場合、製造業者は消費者からのハラル認証要望を反映しているとYusuf Aboobakar氏は考えている。その証拠として、実際に壁用タイル会社から申請を受けた例をあげた。
「これには驚いた。普通ならこういった商品にはハラル認証は不要で、タイルについて特定基準などはない。そのため、必要に応じ食品一般のルールと追加基準を適用し認証を出すことになる」

最終的にYusuf Aboobakar氏は、タイルにハラル認証は必要ないと消費者に説明するよう、タイル製造会社を説得することができた。
「認証を出せばその商品は消費者にとって値段が上がってしまっただろう。ハラルは価格UPの為に存在しているのではなく、ムスリムが生活しやすくするためのものだ」と彼は付け加えた。

他の認証団体Alep Mydinも、利益のためというより一般ニーズに応えるためのハラル認証依頼が多いという点で同意した。

ハラル認証を要請してきたはちみつ製造業者も、消費者ニーズに応じるためだったと西オーストラリア州のIslamic Association of Katanning会長も強調した。この会社は、ハラルロゴなしではムスリムの客足が遠のいてしまうと恐れていた。

「ハラル認証団体として、我々はハラルロゴの神聖さを慎重に守っていかなければならない。企業の利益追及に応じるのではなく、必要な物に対してだけ認証を与えるべきだ。認証と利益追及は切り離すべき。しかし大抵の場合ハラル認証を求めているのは製造業者ではないのです。ほとんどの場合ムスリムの要求からきている」と Alep Mydinは話す。

デリケートな話題

台湾の認証団体のIsa Chao氏は、無用な認証と彼が考える例が増えていることについてとても強い思いを持っているにも関わらず、認証団体に関わる全ての人々が、少なくとも公に彼に賛同しているわけではないことも理解している。
「とてもデリケートな話題ですから、人々は本音を言わない。認証団体としてTHIDAは常に不要なハラル認証は勧めないようにしている。我々はそういった不要なものにハラル認証を行う事は良いビジネスとはみなさないが、違う考え方をする人もいる。この事態を鎮静化させる効果的な方法は分からない」

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