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【カンボジアのハラル戦略】経済多様化で米作不振克服の道を開く

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By: Richard Whitehead: Salaamgateway.com

カンボジアがハラルフードに関する新たな規制を発表してから1年余りが経ち、イスラム担当大臣はカンボジア社会のここまでの進歩に満足していると発表した。

「カンボジアのハラル経済について、とてもいい感触を持っている。多くのビジネスチャンスのあるカンボジアで出来ることを宣伝し、ハラル企業の注目を集めたい」と総理府イスラム担当大臣Othsman Hassan氏は話す。

クーデター後の22年間

1997年の「ゼロ・エコノミー」から始まりカンボジア人民党が暴力的なクーデターで国を制圧した後22年間で、カンボジアは全体としてかなりのGDP成長を遂げてきたと大臣は言う。

世界銀行によると、成長率はクーデター前の1995年以来平均7.7%と「世界で最も成長の速い経済のひとつ」であった。中期も力強い経済成長が続くだろうという。

全体的な経済成長は大いに明るい材料だが、Othsman Hassan氏によるとハラル貿易の実績については正確な指針を見出すにはまだ早すぎるという。

昨年3月に商業省が、ハラル認証標準化のための新規則を発表した。
カンボジアとますます緊密な関係を築いているマレーシアハラル機関の支援を得て作成されたドラフト資料が元になっている。

近隣諸国がハラル戦略で連携をとり始めたのは、カンボジアのHun Sen首相が輸出を多様化し、イスラム諸国からの観光客や投資家をより多く呼び込むためにマレーシアにハラルフード産業支援を求めた後の昨年からになる。

経済の多様化はカンボジアにとって重要性を増している。カンボジアは米の生産量で世界一だが、近年は十分なインフラを構築できずに生産量が落ち、研究開発が進まずにいる状況にある。

EUが一月にカンボジア圏の米に新たな輸入税を導入したことも足かせになっている。以前は後発開発途上国であっても非関税で殆どの商品を輸出できるEUの「武器・弾薬以外全て無税措置」に助けられていた。

しかしカンボジアに加え無税措置によって利益を得たミャンマーからの長粒インディカ米の輸入で、EU生産者の市場シェアが61%から29%に落ちたという主張に押され対策が採られた。カンボジアは欧州連合司法裁判所にこの件について異議を申し立てている。

ハラル経済開発が進めば新たな市場が開かれる

政府当局は、カンボジアのハラル経済開発が進めば新たな市場が開かれ、国内投資を刺激しイスラム諸国からの観光客が増加すると見ている。

「カンボジアにおける、ムスリムに対するハラル教育を進め、イスラム投資家をカンボジアに引き入れて輸出向けハラル食品製造を促進したい。また他部門の投資を促進し、カンボジアの発展を加速していきたい」
と、2017年9月にHun Sen首相がマレーシア宗教大臣のJamil Khir氏との会合後に話した。

Jamil Khir氏は、国家間の関係強化がカンボジアに投資するマレーシア企業の増加繋がるだろうと話した。

昨年のハラル基準策定はカンボジアのハラル食品認証プロセスを調整する内容だった。カンボジアのウラマー評議会であるイスラム教宗務最高評議会と密接に協力し、マレーシアJAKIMから十分な支援を受けている商業省が証明書を発行している。新基準の草案は実施前に、主なハラル専門家にも確認を取っている。

以前は、カンボジアには国際的に認知された認証団体が無かったため、ハラル認証が必要な食品会社は海外に頼っていた。

ハラル産業を開発する計画は、カンボジアの2015-2025産業発展政策の重要な一部となっている。
この計画は、GDPに占める産業部門の割合を増加させ、繊維製品以外の輸出を増やし、加工農産物輸出を促進することで商品輸出を多様化させることを目標とする。
飲食品の生産は投資家から見てインセンティブがつく分野の1つである。

ハラル産業の開発により、タイやマレーシアからのカンボジアへの投資の可能性が開かれる。
これによりカンボジアの食品製造基準が国際要件を満たすために必要な資本と専門知識が得られると期待される。

Othsman Hassan氏は、カンボジア人口の5%以下であるムスリムの要求に応じる産業を成長させる計画があるのは、政府が差別撤廃を目指しているためだという。

「カンボジアはムスリムの国ではなく、人口1600万人のうちの70万人ほどにすぎない。しかしカンボジア政府は国内のムスリムのこともきちんと考えている。現在カンボジアでは2名の上院議員、2名の下院議員と11名の次官がムスリムである。我々は国内外に、ムスリムおよび非ムスリムに対しハラル産業を広めることができる。政策策定やハラルのメリットに対する意識向上について、政府から全面的に支援を受けているからだ」とOthsman Hassan氏は締めくくった。

原文:https://reurl.cc/6z1Qd

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